2011年9月13日火曜日

食物アレルギーについて 6

原因がわかったら正しい除去食療法を

正しい除去食療法できちんとケアして
 病院できちんと検査を受け、アレルゲンとなる食物が特定されたら、あとは正しい除去食療法を行えば、症状は必ずよくなっていきます。
 除去食とは、その名のとおり、アレルゲンの食物を子どもに食べさせないようにする治療法です。
 この場合も、「アレルゲンとなる食物をやめるだけだから」と軽く考え、自己流で行うのは厳禁です。「卵がダメなら魚からタンパク質を補う」など、栄養や具体的な代替メニューを総合的に指導してくれる医師のもとで行う必要があります。そうでないと、栄養不足のために健康や成長の面で害が出ることさえあります。

「完全除去」と「不完全除去」2種類の方法がある
 また、ひと口に除去食といっても、「完全除去」と「不完全除去」の2種類があります。どちらを行うかは、子どもの状態を見て、医師が判断します。言九全除去」は、アレルギーを引き起こす食物をいっさい与えないという方法で、特定の食物が含まれているお菓子やレトルト食品など、加工品もすべてシャットアウトします(期間の目安はまず半年です)。
 一方、「不完全除去」は、1週間に2回程度、アレルゲンの食物を少量ずつ食べさせてみる方法です。ただし、これは「十分に加熱したもの」に限ります。たとえば卵をアレルゲンとする赤ちゃんには、生卵そのものは少量でも食べさせてはいけませんが、ホットケーキやプリンなど十分に加熱・調理したものなら、少しは食べさせられます。卵は主にタンパク質がアレルゲンで、熱を加えることによってその性質が変化、体がアレルゲンと認識しにくくなるからです(加熱などを「低アレルゲン化」といいます)。
 もちろん、「不完全除去」でも、専門医の指導のもとで行うことが大前提です。「不完全除去」とはいえ、自己判断で行うとお母さん自身が精神的に追い込まれたり、赤ちゃんの栄養バランスを狂わせる可能性が非常に高いのです。実際、自己判断による除去食で、かっけ(ビタミンB1が欠乏して起こる栄養失調の病気の一つ)やくる病を発症した例が、日本国内の学会で報告されているので、気をつけてください。

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2011年9月7日水曜日

食物アレルギーについて 5

正確な診断のためには「除去テスト」「負荷テスト」

除去テスト・負荷テストが重要な判断材料になる
 では、食物アレルギーのある・なしを正しく診断するため、また何がアレルゲンかを特定するためには、どんな検査が必要でしょう。
 それは、「除去テスト」と「負荷テスト」 の2つです。これは、次のような手順で行います。
 最初は、除去テストです。アレルゲンと疑われる食物の (卵なら、卵はもちろん卵の入った料理や食品、菓子類すべて)を1週間~10日間、完全にシャットアウトします。つまり食べさせないわけです。アトピー性皮膚炎の場合は、この間、スキンケア (第4章) はしっかり実行します。
 除去して症状が軽くなったのなら、その食物はかなりアヤシイ、ということです。でも、たまたま体調がよかったり、適切なスキンケアで皮膚がよくなったということも考えられます。そこで、さらに次のテスト。まず初日は、その食品のそれまで食べていた量の3分の1、次の日に3分の2、3日目に除去前の量に戻します。これが「負荷テスト」です。
 これで症状が悪化した場合は、再びその食物を完全にシャットアウトします。それで症状が軽くなれば、その食物がアレルギー症状に関与している可能性はとても高くなり、最終診断の重要な材料になります。
 何度もいいますが、血液検査や皮膚検査だけでは、食物アレルギーの診断はできません。実際に除去テスト・負荷テストを行ったら、何も症状は変わらず、関与はないようだ……というケースも少なくありません。原因でもない食物を除去するのは、子どもの成長に百害あって一利なしです。

テストは必ず専門医の指道寸のもとで行って
 除去テスト・負荷テストは家庭で行うことも可能ですが、負荷テストによって、まれに呼吸困難などのショック症状を起こすこともあります。ですから必ず専門医か、この方法に十分経験のある医師の指導のもとで行うことが必要です。
 なお、すでに何かの食物でショック症状を起こしたことのある場合は、除去テスト・負荷テストなどの手順を踏まないで、診断する場合もあります。

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2011年8月23日火曜日

食物アレルギーについて 4

血液検査と皮膚検査だけで食事制限を始めてはダメ

血液検査・皮膚検査の方法
 アレルギーの検査には、血液検査や皮膚検査もよく用いられます。
 血液検査は、血液中に、アレルギー反応の引きがねとなる「IgE抗体(免疫グロブリンE)」という物質がどれくらいあるかを調べる検査です。
 IgE抗体は私たちの血液や体液の中にごくわずかに含まれているタンパク質で、ふだんは寄生虫や一部の細菌を退治する役割を担っています。ただし量には個人差があり、アレルギー体質の人は、赤ちゃん時代からIgE抗体を多量につくり出すという特徴があります。ですから、血液中のIgE抗体の量を調べれば、その人がアレルギー体質かどうかの目安がつくわけです。
 皮膚検査には、スクラッチテストとパッチテストがあります。スクラッチテストは、背中や腕などの皮膚にスクラッチ針で出血しない程度に傷や押し跡をつけ(痛みはあまりなく、傷跡も残りません)、アレルゲンと疑われるもののエキス(たとえば卵白やチリダニのエキス)を1滴たらします。エキスを先につけてから、スクラッチ針で押す方法もあります。その後、皮膚に発赤(赤くなること)が出るかどうかを確認。発赤しているようなら、そのアレルゲンに対してアレルギーのある可能性が出てきます。
 パッチテストは、アレルゲンのエキスを小さな紙に染み込ませて腕などにはり、発赤などの反応を見ます。

検査で「陽性」が出てもアレルギーじゃない!?
 しかし、食物アレルギーの診断において、血液検査と皮膚検査は、あくまで補助テストです。陽性反応が出ても、すぐにその食物を「アレルゲン!」と考え、除去してはいけません。
 というのも、この2つの検査は手軽な分、「偽陽性」、つまり誤って陽性反応が出る場合が少なくないからです。特に皮膚検査の場合、皮膚が過敏な子は、どんなアレルゲンエキスにも反応してしまいます。
 また、乳幼児の場合、血液検査や皮膚検査で陽性と出ても、本当に食物制限が必要な子は半分以下にすぎないことが、2001年に厚生労働省より発表されています。事実、検査が陽性でも、その食物が特に問題ない場合が何割かあります。
 また、もう一つ頭に入れておいてほしいのは、アトピー性皮膚炎は食物アレルギーだけで起こるわけではないということです。前にもお話ししたように、食物アレルギーが関与しているケースはせいぜい2~3割程度。原因もはっきりしないのに特定の食物を制限したり、アトピー性皮膚炎があるからなんらかの食物が必ず関与していると断定的に診断するのは、医学的にまったく根拠がないばかりか、その子の成長にとって有害ですらあります。くれぐれも、血液検査や皮膚検査の結果だけで、食事制限をしないようにしていただきたいと思います。
 ただし、特定の食物を食べると15分以内に症状が出る、ショック症状を起こす、というときは、かなり因果関係は明らかですし、親御さんの話を聞けば多くの場合、原因も推定できます。こうした場合は、血液検査で陽性が出ていれば、確認がとれたと考えてその食物の除去を始めてもいいでしょう。

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2011年8月16日火曜日

食物アレルギーについて 3

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係

食物アレルギーが関与しているのは3割程度
 さて、問題はこうした食物アレルギーと、アトピー性皮膚炎の関係です。
 結論からいうと、「アトピー性皮膚炎」=「食物アレルギーが原因」ではありません。そのように誤解している方も多いのですが、実際に食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因になっている子は、多くても2~3割程度です。あとはチリダー「ハウスダスト、カビなどで、原因を特定できないことも少なくありません。また、まちがったスキンケアや紫外線、食物に含まれている油脂などが、アトピー性皮膚炎の悪化の誘因になっていることもあります。一般に、乳幼児期の食物アレルギーにおいては、卵、牛乳、大豆、米、小麦が5大アレルゲンといわれます(中でも特に多い卵、牛乳、大豆を3大アレルゲンと表現することもあります)。
 その一方で、これらのタンパク質は、赤ちゃんの血液や体をつくるためには絶対に欠かせない栄養です。
 ですから、赤ちゃんに湿疹ができたからといって、自己判断で食事制限を行ってはいけません。まちがった食事制限は、赤ちゃんの栄養状態を悪くし、発育に悪影響を及ぼし、病気を引き起こす原因となることさえあります。お母さんも、よけいなストレスや緊張を
背負うことになりかねません。
 赤ちゃんに食物アレルギーの疑いがある場合は、まず、病院で一連の検査を受け、アレルゲンとなっている食物は何なのかをきちんと突き止めることが重要です。

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2011年8月9日火曜日

食物アレルギーについて 2

乳幼児に食物アレルギーが多い理由

 食物アレルギーは大人にもある反応ですが、特に0~3才の乳幼児に多いことが知られています。そして、こうした乳幼児期の食物アレルギーは、成長するにしたがって自然に軽くなったり、治ったりします。「アレルギーは体質のはずなのに、どうして?」と思われる方も多いでしょう。
 これは、人の消化機能の発達に関係があります。

不思議な不思議な消化の仕組み
 基本的に、すべての食物は人の体にとって「異物」であり、アレルゲンとしてアレルギーを起こしうるものです。しかし、実際にはほとんどの人がアレルギーを起こすことなく、食物を摂取できています。 実は、人の消化管には、食物でアレルギーを起こさないための仕組みがあるのです。
 食物は口から入って、胃、十二指腸などを通過するうち、胃酸や、すい臓などから分泌される消化酵素の助けを借り、小さく分解されていきます。小さくなって初めて、小腸で栄養として吸収されるのです。このプロセスが「消化(分解)」です。
 たとえば、お米やいも類などの炭水化物はブドウ糖などに、肉や豆腐などのタンパク質はアミノ酸などに分解されます。食物の脂も、脂肪酸などに分解されて初めて小腸で吸収されます。人が食物をアレルゲンと感じないのも、この分解というプロセスのおかげ。食物を、人が栄養やエネルギー源として活用できるかたちに変化させているのです。
 また、栄養を吸収する小腸の粘膜は、こまかい網目状と考えられています。食物を十分分解できなかったとき、つまり大きな分子として残ってしまったものは、ここを通って体内に入ることができません。「消化が悪くて下痢をする」のは、分解が不十分だったため。また繊維質の含まれた食物が便秘にいいのは、人は牛や馬などと異なり、繊維質を消化する酵素がなく、ほとんどが便として出てくるからです。

成長とともに機能が発達、アレルギー反応も解消
 しかし、赤ちゃんはこうした消化の能力が未熟です。消化酵素も十分ではありませんし、腸の粘膜の網目も、大人にくらべて大きいといわれます。つまり食物が十分に分解されず、大きな分子のままで休の中に取り込まれてしまいやすいのです。そして、体の免疫組織がこれを異物としてとらえ、アレルギー反応が起こるわけです。
 またもう一つ重要な点に、人にはこうして消化管から入ってきたものに対し、「体にいいもの」「悪いもの」を見分ける免疫的な能力が備わっていることもあります。これを「免疫学的寛容」 (よいものを受け入れる、といった感じです)といいます。けれど、赤ちゃんはこうした免疫的な判別能力も未熟。やみくもに食物成分を拒否してしまうともいえます。
 ここまでお話しすれば、もうおわかりでしょう。そぅ、赤ちゃんは、こうした消化管の機能すべてが未熟ということなのです。しかし成長するにつれ、こうしたさまざまな機能も成熟し、多少の個人差はありますが、3才にもなれば、それまでアレルゲンとされていた食物を食べても、アレルギー症状が出ないようになる可能性が高いというわけです。

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2011年8月2日火曜日

食物アレルギーについて 1

食物アレルギーって何?どんな症状?

じんましんが代表的ですが症状は実にさまざま
 食物アレルギーとは、ある特定の食物を飲んだり食べたりすることによって引き起こされる、アレルギー反応です。
 代表的なのはじんましんです。皮膚にかゆみのある赤い発疹が広がります。このほかにも呼吸が苦しくなる、心臓がドキドキする、鼻水やくしゃみが出る、腹痛や下痢を起こす、吐く、関節が痛くなるなど、症状は実にさまざまです。まれなケースとして片頭痛もありますし、食べた直後に異常に興奮(ハイになる)し、そのあとで全身に脱力感をきたす場合も見られます。
 中でも激烈なのは「ショック型反応(アナフィラキシー)」と呼ばれるもので、血圧低下や呼吸困難、意識障害などを起こします。代表はそばアレルギーで、ショック症状の場合は迅速な治療が必要になります。
 ふだんは特に問題のない食物でも、体調が悪いときなどに、じんましんなどが出ることもあります。

反応が出るまでの時間もさまざまです
 アレルゲンとなる食物を摂取してからこうした症状が出るまでには、主に3つのパターンがあります①10~15分以内に症状が出る②6~8時間後(半日後) に出る③1~2日後に出る
 ①は最も多いタイプの反応です。食べた直後に症状が出るので、食物と症状との因果関係もわかりやすく、原因の特定&診断も容易といえます。
 ②は特定の食物を食べてから症状が出るまでに次の食事や間食もあるため、原因を見つけるのがむずかしくなります。また③も、食べてからかなり時間がたつので、よほど注意していないと原因を見つけることばむずかしくなります。
 食べてすぐ症状が出る反応の場合は血山聯甲の抗体を調べる検査もかなり有効ですが、症状が出るまでの時間が経過するにつれ、抗体検査の診断的価値は低下します。時間がたってから起こる反応には、抗体だけではなく、細胞などその人の持つ免疫システム全体が関係していると考えられるからです。

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2011年7月26日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 8

アトピー性皮膚炎と赤外線

昔は夏、子どもは真っ黒に日焼けしたものですが、こうした幼児期の多量の赤外線が皮膚ガンなどのリスクを高めることが、知られるようになってきました。
アトピー性皮膚炎については、赤外線が悪化要因になることもあります。実際、「日焼けしたら炎症が悪化した」という子も確かにいます。
しかし、むやみに赤外線をこわがるのもどんなものでしょう。
たとえば、赤外線を浴びることで、肌はダメージを避けようとして角層を厚くします。しまり肌が丈夫になって、外からの刺激に強くなります。また、赤外線は体内でのビタミンDの生合成の手助けとなります。過度の赤外線対策のせいでビタミンDが欠乏し、日本では見られなくなった「くる病」にかかる子がときに見られるという報告もあります。
確かに、強い日焼けは肌にダメージを与えますが、太陽の下で適度に遊ぶことは、子どもの体や心の成長のためにも大切なのです。
最近は子ども用の日焼け止めクリームなども市販されていますが、アトピー性皮膚炎の症状がたある時期は、使用を避けます。症状が安定しているときは使用しても構いませんが、かぶれることもあるので、必ず腕など小さな部分で試してからにします。心配なときは帽子などで日焼け対策をしてください。
また、子どものアレルギーは「体力がつくにつれて改善する」というすばらしい面があります。そのためにも、運動は欠かせません。
皮膚症状があっても、あまり神経質にならず、外遊びは積極的にしましょう。また、皮膚症状が安定したら、今度は肌を丈夫にするため、いろいろなことに積極的にチャレンジしたいものです。
たとえばスイミングなども、1年がんばれば、体はメキメキ強くなりますよ。

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2011年7月20日水曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 7

アトピー性皮膚炎の経過

アトピー性皮膚炎の治療は一人一人、オーダーメイド
 アトピー性皮膚炎は、バリア機能の低下やそれによるドライスキンなど「アレルギーと関係のない要因」と「アレルギーによる要因」、この2つが合わさった皮膚炎。治療も、この両面から取り組むことになります。
 具体的な対策については別の章でお話ししますが、大切なのは「一人一人に応じた原因を追究すること」といえるでしょう。もしスキンケア法がまちがっているなら、それを直す。アレルゲンも一人一人違うので、それぞれに応じた対策を考える……。
 動物性脂肪やリノール酸のとりすぎ、添加物、紫外線などが皮膚炎を悪化させる誘因になっていることもあります。気づいたものから一つずつていねいに改善していく地道な積み重ねがいちばん大切。アトピー性皮膚炎の治療は「一人一人オーダーメイド」です。
 アレルギーは体質なので一生のおつきあいですが、アトピー性皮膚炎は適切なスキンケアと環境整備で十分、改善が期待できる皮膚炎です。専門医とていねいに相談しながら、ゆっくり取り組んでいきましょう。ここでは2つのケースを写真で紹介しましたが、そのほかさまざまな体験が第8章にありますので、そちらも読んでみてください。

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2011年7月13日水曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 6

アトピー性皮膚炎の特徴と診断

疑われるときは専門医を受診して
 これまでにお話ししたように、治りにくい湿疹=アトピー性皮膚炎と即断するのは禁物です。けれど①親にアレルギー病がある、②かゆみの強い湿疹がなかなか治らない、③再発を繰り返す、④湿疹のできる部位に特徴がある……ようなときは、アトピー性皮膚炎の疑いも強いといえるでしょう。一般に、0才期のアトピー性皮膚炎は全体にジクジクした感じです。顔がただれたように赤くなり、分泌物が出ることもあります。かゆみが強いのも特徴で、ひどいときは体全体に広がります。
 1才ころになると湿疹はしだいにカサカサしてきます。アトピー性皮膚炎の特徴「ドライスキン」です。肌は乾燥して粉をふいたような、アトピー性皮膚炎特有のザラザラした感じになってきます。
 かゆみが強いので、かいているうち、幼児期になる
と皮膚がゴワゴワ、厚くなってきます。
 症状は悪くなったりよくなったりを繰り返し、思春期になるころには軽くなりますが、大人になるまで持ち越したり、大人になって再発することも、最近はふえてきました。それどころか、ストレスが原因の成人発症型のアトピー性皮膚炎も増加しています。

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2011年7月5日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 5

アトピー性皮膚炎とほかの湿疹の判別

湿疹=アトピー性皮膚炎と思い込まないこと
 アトピー性皮膚炎の治療方針や今後のケアを考えるためには、これまでお話ししたようなアトピー性皮膚炎の特徴を理解しておくことが大切です。また、何より重要なのは、正しい診断でしょう。ほかの湿疹や皮膚炎との「判別」をしていくことが必要です。
 実際、「これはアトピー性皮膚炎でしょうか?」と心配して受診するお子さんの何割かは、単純なドライスキンによる湿疹です。また、赤ちゃんによくある湿疹ですが、スキンケアが誤っていたためになかなか治りにくくなっているケースもあります。
 軽い湿疹や単純なドライスキンであれば、保湿ケアだけで治ることもあります。不必要な薬や根拠のない食事制限をしないためにも、正しい診断は大切です。

新陳代謝が盛んな赤ちゃんは湿疹もできやすい
 それでは、いくつかアトピー性皮膚炎とまぎらわしい湿疹をご紹介しておきましょう。
 赤ちゃんは「滲出性体質」といわれます。新陳代謝が盛んですし、特に生後すぐから2~3カ月くらいまでの赤ちゃんは、体内でお母さんからもらったホルモンの影響で皮脂の分泌が盛ん。肌がベタベタ、ジクジクした湿疹もできやすいものです。 たとえば「新生児ニキビ」。ほおやおでこにできるプツプツした湿疹で、大人のニキビのようにまん中に白いしんがあります。生後間もなくから3カ月ころまでの赤ちゃんによく見られるもので、やはり皮脂分泌が多いせいです。
 「脂漏性湿疹」も、生後2~5カ月ころまではよく見られる湿疹です。頭皮や髪の毛の生えぎわ、ひたいなどにできるクリーム色のフケのような湿疹で、ひどくなるとかさぶたのようにべったりつきます。
 こうした湿疹は乳児にできやすいということで、一般に「乳児湿疹」と呼ばれます。
 もっとも、赤ちゃんの月齢が低いうちは、乳児湿疹なのか、アレルギーが関係するアトピー性皮膚炎なのか、判断もむずかしいものです。ある程度経過を見ながら、慎重に判断していく必要があるといえます。

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2011年6月28日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 4

かゆみ物質

体の中からもさまざまな「かゆみ物質」が攻撃!
 アトピー性皮膚炎を理解する最後のキーワード。それは「かゆみ物質」です。
 というのも、アトピー性皮膚炎の強いかゆみには、「アレルギー反応が起こる仕組み」で解説したように、体内の細胞から放出される、さまざまな化学物質(かゆみ物質)も関係しているからです。
 代表的なかゆみ物質は「ヒスタミン」ですが、ヒスタミンとは関係なく起こる強いかゆみもあります。実際、かゆみを起こしているのではないかといわれる放出物質には、ニューロペプチド、オピオイド (βエンドルフィン)、サイトカインなど、ややこしい名前のものがたくさんあります。
 アトピー性皮膚炎ではこれらさまざまな物質が体の細胞を刺激、真皮の中で炎症が起こると考えられています。炎症部分は「熱さ」と「かゆさ」のダブルパンチ。体の中で起こる熱がゆさに、子どもは思わず手を出し、ポリポリかいてしまうわけです。

血が出るまでかくのはかゆみを感じる神経のせい
 また、アトピー性皮膚炎などによるドライスキンの人は、そうではない肌タイプの人より、かゆみを感じやすいのも特徴です。 体が察知した「かゆい」という感覚は、神経を通って大脳に伝わります。この 「かゆい」という感覚をやりとりする神経ネットワークの端っこは、真皮と表皮の境目にあります。
 たとえば皮膚に、かゆみを起こす薬を塗ったとしましょう。角層はかゆみをほとんど感じません。表皮では、ほんのちょっとのかゆみです。そして「かゆい!」といちばん強く感じるのは、神経が集まった、表皮と真皮の境目の部分です。
 アトピー性皮膚炎などによるドライスキンでは、なぜかはわかりませんが、この神経が角層のすぐ下まで伸びています。つまり皮膚のすぐ下で「かゆい!」と強く感じてしまうんですね。
 また、皮膚表面の刺激もすぐ神経に伝わってしまいます。寝ている間、血が出るまでポリポリかきむしってしまうのも無理はありません。

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2011年6月21日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 3

混合反応

アトピー性皮膚炎は、異常の起きた皮膚とアレルギーの 「混合反応」
 皮膚のバリア機能の低下は、アレルギー体質でない人にも起こるトラブルです。ドライスキンも同様に、アレルギー体質でない人にもよく見られる肌タイプの一つです。実際、「アトピー性皮膚炎でしょうか」と心配して受診するお子さんの何割かは単なるドライスキン、つまりカサカサ肌タイプです。
 肌タイプでいえば、肌の「強さ」「弱さ」にも個人差があります。よだれや食べこぼしのふきすぎで口のまわりが真っ赤になる赤ちゃんはたくさんいますし、大人でも、ふきすぎで口のまわりがひりひりすることがあります。アレルギー体質でなくても、こうしたことはよく起こります。
 アトピー性皮膚炎は、これらとはまた違います。 アトピー性皮膚炎とは、皮膚のバリア機能の低下やドライスキンなど「アレルギーに関係のない要因」と「アレルギーによる要因」、この2つが組み合わさって起こる、慢性の湿疹です。つまり「混合反応」ということです。「2つの側面」 「2つの顔」を持っていると表現してもいいでしょう。実際、アトピー性皮膚炎の患者さんの多くは、アレルギー体質(アトピー素因)を持ちます。
 しかし、この概念だけでアトピー性皮膚炎が説明できるかというと、そうでもありません。
 たとえば乳幼児期には食物アレルギーによるアトピー性皮膚炎もよく見られますし、3~4才になると、アレルゲンとしてチリダニの影響も強くなります。大人ではストレスや心理的な問題がアトピー性皮膚炎を悪くさせる場合が多くあります。けれど、いくら調べても原因がはっきりしない場合も少なくありません。アトピー性皮膚炎の解明は、まだ始まったばかりといえるでしょう。

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2011年6月17日金曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 2

ドライスキン

ドライスキンもアトピー性皮膚炎の特徴の一つ
 バリア機能の主役である角層には、たくさんの水分が含まれています。角層のいちばん上には「皮脂膜」があり、ここでもアレルギーを起こすものや病原菌などをシャットアウトします。また、皮脂膜は水分が抜けていくのも防ぎます。
 けれど、バリア機能が低下した角層、また、手でかくことなどによって傷ついた角層は、こうした保護機能が十分に働きません。アレルゲンが侵入しやすいだけでなく、水分も外に抜け出やすい状態です。
こうして水分が減ってカサカサになった肌を「ドライスキン」といいます。これも、アトピー性皮膚炎の特徴の一つです。
 また、水分が減ってしまうもう一つの理由に、角層の中の「セラミド」という物質が少なくなっていることもあげられます。セラミドは一種の脂で、ブロックのように積み重なった角層の細胞と細胞をつなげるのが役目。いってみればセメントです。それが少ないので、ブロックとブロックの間はスカスカ、水分をためておくことができません。アトピー性皮膚炎では皮膚炎の部分だけでなく体全体がドライスキンになりがちですが、これもセラミドの減少が一つの原因と考えられています。ただ、どうしてセラミドが減ってしまうのか、その仕組みはまだよくわかっていません。

ドライスキンは刺激にも敏感。ちょっとしたことでカユカユ!
 バリア機能が低下してカサカサになった皮膚は、健康な皮膚にくらべて刺激にも敏感です。たとえば汗、空気の乾燥、お湯のあたたかさ、せっけんやシャンプー、リンスに含まれる香料、洗剤の中の界面活性剤。
 健康な肌の子ならたいしたことのない刺激でも、アトピー性皮膚炎の子には大きな刺激。冬など空気が乾燥する季節になると症状が悪化しがちなのもそのためですし、おふろで体があたたまるとかゆみが増してしまうのも同じです。
 かゆいからかく、かくことでよけい角層が傷つき、水分が抜けてカサカサになる。アトピー性皮膚炎では、こうした悪循環がよく起こってしまいます。

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2011年6月14日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 1

バリア機能

皮膚の役目は人間の体を守る機能
 アトピー性皮膚炎を理解するために、まず必要なこと。それは、皮膚で「何が」起きているかを知ることです。「なぜ」そうした症状が起きるのか、アレルギー体質とどのような関係にあるのかは、のちほどゆっくりお話ししていきます。
 それでは、アトピー性皮膚炎を理解する第1のキーワード「バリア機能」について説明しましょう。
 ふだんは意識することもない皮膚ですが、そこにはとても大切な役割があります。
 たとえば熱い、冷たい、痛い、重いなどを感じるの
も皮膚の役目です。「アチチ」と感じて手を引っ込めるから、ひどいやけどをしなくてすむのです。「やわらかい」「かたい」なども、皮膚を通して脳に伝わります。
 同時に、皮膚は人間の体に欠かせない水分が外に抜け出ていかないよう、守っています。
 そして、なにより大事なのが「バリア機能」。細菌やウイルスなど有害なものを体に侵入させないよう、ガードすることです。
 体内環境をいつも一定にすこやかに保つため、全身を包んでガードする、それが皮膚の役目です。

バリア機能の主役はいちばん上の「角層」
 皮膚は、次ページのイラストのように「表皮」「真皮」と呼ばれる部分に分かれます。
「表皮」は何層もの細胞が、ちょうどお城の石垣のようにブロック状に積み重なっています。いちばん下には「皮膚のもと」になる細胞があり、それが分裂して上っていきます。表皮のいちばん上には角層があり、皮膚はそこから表面に達し、あかとなってはがれ落ちていきます。よくいわれる「お肌のサイクル」ですね。
 でも、角層は「もういらない古くなった部分」「あか」ではありません。実はこの角層こそがバリア機能の中心、ガードの主役です。
 細胞の集合体なので、タオルなどで強くこするとあかや汚れといっしょにどんどん取れていきますが、そんなふうに無理にこすって取ってはいけない、とても大事な部分なのです。

「バリア機能の低下」がアトピー性皮膚炎の特徴
 アトピー性皮膚炎の特徴は、ひと言でいえば、この皮膚のバリア機能の低下です。ガードの主役である角層に、異常が起きているのです。健康な皮膚であれば、角層はとても強固で、ちょっとやそっとの病原菌ならはね返します。ところが、アトピー性皮膚炎では角層のバリア機能が低下したり、うまく働かなくなっています。そのため、細菌やウイルスはもちろん、アレルゲンも体内に侵入しやすい状態になります。
 もともと赤ちゃんや子どもはいろいろな臓器の機能が未成熟ですが、とりわけ皮膚のバリア機能は未熟です。黄色ブドウ球菌(とびひの原因菌)など、大人にはなんでもない菌に感染しやすいのも、一つはこれが原因です。赤ちゃんや子どものアトピー性皮膚炎には、そもそもこうした「バリア機能の未熟さ」が関係しているのでは、とも考えられています。

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2011年6月10日金曜日

アレルギーの仕組みを知る 3

なぜ反応が出るかわからないこともある

思い当たる原因はあるのに血液中にはそれに対する抗体が見つからない
 また、アレルギー反応にはもう一つ、不可思議なことがあります。
 それは、出てきた症状がアレルギー反応によるものということはわかっていても、「なぜ」そうした反応が起きたのかよくわからないことがある、という点です。
 たとえば、異物が体に侵入してすぐにアレルギー症状が出るタイプは「即時型」と呼ばれます。アレルギ一反応としてはいちばんよくあるもので、スギ花粉によって鼻や目に症状が出たり、かになど特定のものを食べたり、特定のものに触れたらバーッとじんましんが出たなどは、このタイプです(じんましんもアレルギーの一種です)。早ければ10~15分、極端なときは数秒で反応が出ます。
 ところが、かにによるじんましんなどの場合、すぐ症状が出た人の8割くらいは、血液検査をすると「かにへの抗体」が見つかりますが、残りの人は抗体が見つかりません。血液の中の抗体の有無とアレルギー症状が、必ずしも一致しないのです。
 また、特定の物質侵入後、半日、または1~2日たってからアレルギー反応が出ることもあります。この場合、その物質に対しての抗体が見つからない人は、「すぐ反応が出た人」より多くなります。

時間がたってから反応が出ることも……
 このほか、ピアスやネックレス、時計のバンド、新しい化粧品などで皮膚が赤くなったり、かぶれたりすることがあります。これは接触皮膚炎(または皮膚アレルギー)といって、やはり特定のものに対するアレルギー反応ですが、この場合、直接触れた場所に症状が出るだけでなく、時間がたってから遠く離れた場所に反応が出ることもあります。薬を飲んだら1~2日たって発疹(薬疹)が出てきた、などもこのタイプ。時間がたっているだけに、アレルギー反応と気づかなかったりすることさえあります。
 アレルギー反応を起こす仕組みは意外に複雑で、まだまだわかっていないことも多いのです。

アレルギー体質は氷山の「隠れた下の部分」
 簡単にいえば、アレルギー体質は、海に隠れた氷山の下の部分です。体質として持ってはいても、症状が強く出ないために気づかない人もいます。大人になって花粉症が出て、初めて自分がアレルギー体質だったと気づくこともよくあります。
 また、アレルギー反応を起こさずにすむ環境があれば、氷山は海に隠れたまま……、つまり症状が表に出ないこともあります。たとえばスギ花粉症の人が南極で生活すれば、スギの木がないので花粉症の症状は出ません。
 逆に、なんらかの環境因子(アレルギーを起こすもの)が、次々にアレルギー病を引き起こすこともあります。アレルギー病は、体質と環境要因(日常生活の中にあるアレルゲン)が合わさって起こる、複雑な病気だと考えてください。

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2011年6月7日火曜日

アレルギーの仕組みを知る 2

アレルギーは遺伝による「体質」

アレルギー体質は親から子に伝わります
 でも、どうしてある人にはなんでもないものが、別の人にはアレルギー反応を起こしてしまうのでしょう。
 答えは「体質」です。アレルギーを起こしやすい体質が、親から子へ遺伝するのです。
 事実、アトピー性皮膚炎やゼンソクなどの子の両親を調べると、なんらかのアレルギー病(アレルギー性鼻炎、じんましん、花粉症、薬アレルギー、気管支ゼンソクなど)が見られることは珍しくありません。
 過去70年間の報告を見てみても、両親がアレルギー病を持っていると、片方の親のみアレルギー病がある場合にくらべ、約2倍の確率で子どもにアレルギー症状が出ることも明らかになっています。
 別の報告では、両親がアレルギー病を持つ場合、40~70%の子にアレルギーが見られ、片方の親のみアレルギー病の子は、生後1才半までに40%がなんらかのアレルギーの病気を持つともいわれています。

体質だから必ずアレルギー病になる?そうではありません
 では、アレルギー体質を持って生まれた子やアレルギー体質を持つ大人は、必ずアレルギー病を起こしてしまうのでしょうか。いいえ、そうではありません。
 たとえば双子のきょうだいの、ゼンソク発症に関するデータを見てみましょう。一つの受精卵から分かれた一卵性の双子ちゃんは、遺伝情報も同じです。ところがこのきょうだい、2人ともにゼンソクが発症するのは、世界のどの統計でも50~60%くらいです。アレルギー体質は遺伝子に組み込まれていますから、同じ「アレルギー体皆こを持って生まれた双子ちゃんなら、アレルギー病の発症率も、100%一致するはずです。でも、そうなりません。
 つまり、アレルギー病が発症する・しないは、遺伝だけでは解明できないということです。アレルギー病は体質と環境要因(日常生活にあるアレルゲン、食事など)も複雑にからんだ病気なのです。

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アトピー&アレルギー 主婦の友社

2011年5月31日火曜日

アレルギーの仕組みを知る 1

アレルギーって何?どうして起こるの?

まず「免疫反応」 (抗原抗体反応)を理解しましょう
 人間には、自分の体を守るためのすばらしい能力が備わっています。その一つが「免疫」です。 たとえばはしかや水ぼうそう、おたふくかぜなどの病気は、一度かかれば二度とかかることはありません。これを「免疫ができる」といいます。 はしかを例にとりましょう。はしかのウイルスが体に侵入すると、体内の細胞は、はしかウイルスに対抗する物質「抗体」をつくります。二度目にはしかウイルスが体内に入ってくると、抗体は「変なヤツだ。やや、これは前にも侵入した〝はしか″だな!」と見破り、はしかウイルスを体から追い出すための活動を始めます。これが「免疫反応」で、反応の原因になる侵人物を「抗原」 (この場合ははしかウイルスです)と呼ぶことから、「抗原抗体反応」ともいいます。月齢の低い赤ちゃんがはしかなどに感染しにくいのは、妊娠後期、胎盤を通じてお母さんからさまぎまな病気に対する抗体を分けてもらって、生まれてくるからです。 自分とは違う人の臓器を移植したとき「拒否反応が起こる」とよくいいますが、これも実は同じです。百分と違うもの(異物)」が体内に入ってきたとき、それを排除する仕組みが免疫。これは自分の体が常に一定であるように守る、高度な体の防衛システムです。

免疫システムが不利に働いてしまう、それがアレルギー
 体を守るシステムなら、いつも体に有利に働いてくれなければいけません。 ところが、ときにはこのシステムが、体に不利に働いてしまうことがあります。それがアレルギーです。侵入してきた特定の異物に対して体が敏感になり、過剰に反応して体に不快で不利な症状を引き起こします。免疫反応を引き起こすものを一般に「抗原」と呼びますが、この場合は「アレルギー反応を引き起こすもの」という意味で、「アレルゲン」という言葉が使われます。 最近は「アレルギー」のほかに「アトピー」という言葉もよく使われますが、これはほとんど同じものと考えてかまいません。「アレルギー」は、ギリシャ語で「変えられた反応」という意味です。いまお話ししたように、免疫システムは細菌やウイルスなど異物から体を守るための反応です。しかし、アレルギーはその反応が変えられ、逆に体を攻撃してしまうことからこの名がつきました。一方、「アトピー」の語源はアメリカの学者・コカが用いた「A・TOP・Y (分類する場所がない)」とされています。最初は子どもに多い、言葉どおり、なんだかよくわからない症状だったのです。でも、いまはアレルギー反応の一つであるとわかりました。事実、アトピー性皮膚炎もアレルギー反応と密接な関係にあります。「アトピー性皮膚炎」という言葉は長くて言いにくいので「アトピー」と省略して使われることが多くなりました。「アトピーっ子」などとよくいいますが、正しくいうなら「アレルギーっ子」というわけです。

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2011年5月24日火曜日

茶あざ5

茶あざ⑤情報編 レーザーが効果治療受けない選択も あざは母斑とも呼ばれ、皮膚の一部の色や形がふつうと異なる状態をいう。生まれつきあることもあれば、大人になってから現れることもある。色や形も様々だ。 青、茶、黒色のあざは、皮膚の色を決めるメラニン色素が過剰に集まるのが原因。多い場所が真皮だと青、表皮の底だと茶色、表皮だと集っぽく見える。赤あざは、皮膚自体ではなく、血管内の良性のしこりや、血管形成の異常のために赤く見える=図。 あざは、かつては手術で別の場所から皮膚を切除して移植したり、専用の化粧品で隠したりするのが主流だった。最近は、あざの種類によって程度の差はあるものの、レーザーを照射する手法で傷痕をほとんど残さず、色を薄くできるようになってきた。 レーザー治療は、目的とする組織に光のエネルギーを吸収させて、破壊や凝固などの作用を起こす。光の種類によって吸収されやすい色が違う樽徴を利用して、治療したい色をもつ物質だけを狙える。当てるエネルギーが小さいと十分な効果が得られないが、大きすぎれば正常な組織も傷つく。また、当てるエネルギーの総量が同じでも、弱い出力で長い時間、照射してしまうと、目的とする組織以外にも影響が及びやす′いとされている。 「患者を生きる青あざ」で紹介した太田母斑の場合、「Qスイッチレーザー」の導入で飛躍的に効果が上がった。出力が高くなる瞬間をねらって照射できるようになり、正常な組織の損傷を抑えつつ、効率的にメラニン色素を壊せるようになった。 赤あざの原因となる血管腫や血管奇形の治療に使われる「色素レーザー」も最近、血管の特徴に合わせて照射条件を細かく設定できるようになり、効果が高まった。メラニン色素を作る細胞がないなどの理由でできる「白斑」のように、あざの中にはレーザー治療が向かないタイプがある。腫瘍などを伴うあざがある一方、たとえ消えなくても、体に害がないことも少なくない。 あざや脱毛症などの患者会をつなぐ活動をする「マイフェイス・マイスタイル」の代表、外川浩子さん(43)は、「当事者には、『あざややけどは治して当然』という風潮に抵抗を感じる人もいる。『治療しない』という本人の選択も幅広く認められる世の中になってほしい」と話している。 (南宏美)

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出典 朝日新聞

2011年5月20日金曜日

茶あざ4

茶あざ④  前進音に込める 千葉県の大学生、永井伸雄さん(23)は高校1年の夏、右腕にあった腫瘍の切除術を受けた。残した腫瘍からの出血を防ぐため、球技や対戦型の空手ができなくなった。 空手は小学5年で習い始め、中3のときには地元の大会で優勝した。骨肉腫の疑いがわかり、空手を禁止されたときは、励まそうとする家族に、「おれの気持ちなんてわからないだろ!」と八つ当たりした。 空手でも、体をぶつけ合わない「形」を手術後に本格的に始めた。いかに美しく見せるか。道場で鏡を見ながら練習したり、DVDを見て研究したりした。 高校の同級生は、腕の腫瘍のことを知らなかった。長袖を着たりサポーターをつけたりして隠し、体育の授業をよく休んだ。「さぼっていると思われているんだろうな」と感じたが、説明はしなかった。、 音楽にものめり込み、ビジュアル系バンドの曲をよく聴いた。男性の奇抜なメークなどで敬遠されがちだが、「世の中でまだマイノリティーなところが格好いい」と感じた。 大学に進むと、音楽のサークルに入って仲間とバンドを組んだ。同じようにバンドでベースを弾いていた兄とは違う楽器がいい、と思って、ギターを選んだ。「運動部は練習が厳しい」と空手との両立はあきらめた。一時は骨肉腫を疑われ、難病を持つ自分でも、いまは前向きに生きている。「どんなにつらい冬でも必ず春が来る」。音楽を通じてそう伝えたいと、.イベントなどで演奏するうちに思うようになった。・ 昨秋、プロのミュージシャンを目指そうと決めた。「ちゃんとした仕事に就いて自立して」と言う母(55)には、「ちゃんとした仕事って何?」と聞き返した。 年に数回、埼玉医大病院の皮膚科で、残したこぶが大きくなっていないか、診察を受けている。主治医の倉持朗医師にも進路を報告した。「音楽でどんどん苦労していきたい」と決意を伝えると、「頑張れ、応援するよ」と言われた。 この秋、新たに結成したバンドの名は「Distlast」。「不信」と「終わり」を意味する英単語をまぜ合わせ、「人間不倍を終わりにする」という意味を込めた。来年2月に初めて新バンドでのライブに臨む。 「CDができたら一番最初にプレゼントします」。倉持医師に約束したり

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出典 朝日新聞

2011年5月17日火曜日

茶あざ3

茶あざ③  腫瘍内の血流止め切除手術 石の腕から肩にかけてあった茶あざの一部がこぶのように膨らんだ千葉県の大学生、永井伸雄さん(23)は2003年7月、埼玉医大病院で切除を受けることになった。 永井さんの腕にある神経線維腫は、内部に多くの異常な血管がある「びまん性」というタイプだった。これだと、出血を防ぐのに使う血管収縮剤という薬が効かない。 皮膚科の倉持朗医師は、先に血流を妨げてから腫瘍を切除しようと考えた。永井さんと両親に、絵を描きながら手法を説明した。 腫瘍と周辺の血管に造影剤を入れて観察しながら、細いカテーテルを太ももから入れて1㍉角のゼラチンスポンジを運び、腫瘍内の異常な血管を1本ずつふさいで、血流をほとんどなくしてから切り取る、という。 永井さんは「すごい手術をするんだな」と感心した。 腫瘍が顔面にあれば、目や脳に影響するかもしれないので使えない。どの患者にもできる手法ではなく、腕にあったのが幸いした。 手術の4日前、放射線科の医師がカテーテルを操作し、ゼラチンスポンジを入れた。3時間ほどすると、腫瘍がしぼみ始めた。手術当日の朝には、ぶよぶよとした以前のような感触がなくなり、大きさも3分の2ほどになっていた。「なんか元気なくなったな」と永井さんは思った。 手術では、腕の盛り上がった部分と筋肉の中に入り込んでいた腫瘍の一部を切り取った。出血量は約10∝で済んだ。 内部の血流を事前に止めていなければ、1千~2千CCの出血があってもおかしくなかった。今回の手法で「出血を200~300∝に抑えられればいい」とみていた倉持医師にとって、予想外の少なさだった。手術が無事に終わったことを、笑顔で両親に伝えた。 「すっきりしたな」。麻酔から覚めた永井さんは、腫瘍が消えた腕を見てうれしかった。小さな膨らみがまだ二つ残っていたが、これなら残しても服の柚で隠せる。 術後も、腕に衝撃があると出血するため、高校の体育の授業は半分近く休んだ。小学校から空手を続けていたが、骨肉腫の疑いを機に禁止されていた。倉持医師にも「出血が危ないから、やめたほうがいい」と言われた。 「ぶつからない空手もあるんです」。そう食い下がり、対戦する「組手」から、演武する「形」に転向することにした。

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2011年5月10日火曜日

茶あざ2

茶あざ②  遺伝子変異が原因の難病 千葉県の大学生、永井伸雄さん(23)は中学3年のとき、右腕の骨折をきっかけに骨肉腫が疑われた。腕の茶色のあざが膨らんでできたこぶも、難しい病気のようだった。 都内の大学病院で、骨を詳しく調べたが、悪性の細胞は見つからなかった。折れた骨は自然にくっつき、脳にあった腫瘍のように見えた影も2、3カ月のうちに消えた。 がんの心配がなくなった高校入学の直前、埼玉医大病院皮膚科を受診した。 ひじのこぶ状の腫瘍七、腕や腹部の茶あざを見た倉持朗医師(54)は、紹介元の医師と同じように、レックリングハウゼン病だと思った。MRI画像で、筋肉の中まで腫瘍が入り込んでいた。骨折手術での大出血は、腫瘍があると知らずに切ったためとみられた。 神経線維腫症1型(NFl)とも呼ばれるこの病気は、たくさんの茶色のあざと、皮膚や神経内に神経線維腫という腫瘍ができる。遺伝子の変異が原因で、患者は国内に約4万人いるとされ、根本的な治療法はまだなく、国が難病に指定している。 一般に、幼い頃は茶あざがあるだけだ。腫瘍は5歳~10代半ばに現れることが多く、腫瘍の形状などで4種類に分かれる。永井さんの場合、膨らんで垂れ下がる「びまん性」というタイプだった。中には骨が変形したり、まれに脳腫瘍ができたりする患者もいる。でも、永井さんの場合、骨折や脳で一時的に見えた影との関連は、はっきりしなかった。 倉持医師は「腫瘍が悪性になることはめったになく、取るかどうかは永井くん次第です」と言った。すぐに取らなくても問題はないが、強くぶつけたりしてけがをすると大出血につながりやすい、という。 説明を受けた永井さんは、「取りたいです」と返事した。ひじの辺りにあるこぶは、半袖の服だと大きいサイズを着ても隠せなかった。取れるものなら取ってほしかった。 倉持医師は年間100人以上、NFlの患者を診ていた。「びまん性」の手術では通常、大量の出血が避けられない。腫瘍のなかに異常な血管がたくさんあるためだ。当時、血液の流れをできるだけ止める「塞栓術」をしたうえで神経線維腫を切除する方法が、国内外で何例か発表されていた。まだ一般的ではなかったが、「この方法でやってみよう」と倉持医師は考えた。

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2011年5月6日金曜日

茶あざ1

茶あざ①  膨らむこぶ突然の骨折プロのミュージシャンを目指す千葉県の大学生、永井伸雄さん(23)は、生まれつき、石の腕から肩にかけて茶色のあざがあった。3、4歳のころ、内科医に「皮膚科で診てもらったほうがいい」と言われた。母(55)は病院の皮膚科に連れて行ったが、特に病名を告げられず、薬も処方されなかった。「そのうち消えるだろう」と思い、病院から足が遠のいた。 小学校の高学年になると、上腕にあったあざの部分が徐々に膨れ、その周りにだけ毛がたくさん生えてきた。「ぶよぶよ」とあだ名をつけられ、からかわれた。両親が言う「やけどのあと」という説明を信じていた。膨らみはどんどん進み、こぶのようになった。「やけどのあとにしてはおかしい」と思ったが、深くは考えなかった。両親にも疑問をぶつけなかった。母も「いつかは手術を受けさせなければ」と思いながら、話を切り出せずにいた。健康診断で医師に「これ、どうしたの?病院は?」と聞かれたことがある。「小さいときからあって、病院には行ってません」と答えると、それ以上何も言われなかった。 中学3年の冬。体育の授業中にふざけて友達の足を引っばっていたら、突然、自分の右腕が動かなくなった。 脱臼を疑った教師に付き添われ、整形外科医院に行った。Ⅹ線写真を撮ったあと、医師は「うちでは診られません」と言い、近くの病院を紹介された。上腕の骨が斜めに折れていた。手術で器具を入れ、骨をつなぐことになった。このころ、腕のこぶは小ぶりの卵くらいの大きさになっていた。触ると柔らかかった。 手術後、永井さんの両親は医師から、「骨をつなげられませんでした」と告げられた。折れた骨の片方は軽石のようにもろく、もう一方は異様に硬かったからだという。出血は当初の予想を大幅に上回る1500∝に達したと聞かされた。 医師は「骨肉腫という骨のがんかもしれません。脳にも腫瘍のような影があります」とも言った。詳しい検査を受けるため、都内にある大学病院を紹介するという。腕のこぷについては、埼玉医大病院(埼玉県毛呂山町)の皮膚科を受診するように勧めた。医師は、皮膚などに腫瘍ができる難病「レックリングハウゼン病」を疑っていた。

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2011年4月29日金曜日

赤あざ7

床ずれ⑥情報編 在宅介護にも予防プランを 「床ずれ」 (褥瘡)は、同じ場所が圧迫され続けるとできる。日本褥瘡学会の「在宅褥瘡予防・治療ガイドブック」などによれば、自分で姿勢をかえることや寝返りするのが難しく、日中の多くをベッドや車いすで過ごす▽十分な量の食事がとれずに栄養状態が悪い▽やせて骨が出ている▽尿や便の失禁が続く-といった人たちがなりやすい。 2006年の同学会の実態調査によると、床ずれを起こした人の割合は、一般病院で2・2%、特別養護老人ホーム2・5%、老人保健施設2・7%に対し、訪問看護は8・3%と、施設よりも在宅の方が高かった。 金沢大医薬保健研究域保健学系の須釜淳子教授(創傷看護学)らは、08年に全国の訪問看護ステーションの中から床ずれの患者445人のデータを集め、予防や管蓮法のほか、できやすい場所、要介護度などを分析した。 床ずれは骨が出っ張ったところにできやすいが、最も多かったのは「患者を生きる・床ずれ」で紹介したニツ木君子さんと同じ骨盤の仙骨部で35%。次いで、かかとの骨10・1%、太ももの大腿骨の上端9・9%だった。 患者の割合を要介護産別でみると、要支援1~要介護2では0~4%だが、要介護3になると12・4%に増え、要介護4は18・2%、要介護5では甲5%を占めた。 要介護3以上だと、自力で立ち上がったり、歩いたりするのが難しく、排泄や入浴、着替えも介助が必要な人が多い。床ずれになりやすい条件にも当てはまる人が増えてくる。ガイドブックでは「要介護3以上の人には、必ずケアプランに床ずれ予防を入れ込む」としている。 同学会の在宅医療委員会委員長、南由起子さんは、今後、在宅での床ずれの予防やケアがより重要な課題になると指摘する。必要とする医療や介護のレベルが高い人が在宅で過ごすことや、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が増えてきているためだ。 栄養状態が悪くなったり、動けなくなったりすると、肺炎などにもかかりやすくなる。床ずれを予防することは、ほかの病気や状態の悪化を防ぐことにもつながるという。 「自分で動くことが難しくなってきたら、床ずれの予防や早期治療にもつなげられるよう、訪問看護をケアプランに入れた方がいい。ケアマネジャーに相談して下さい」。南さんはそう助言する。   (寺崎省子)

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2011年4月25日月曜日

赤あざ6

床ずれ③  広がる穴 2度の切除手術 横浜市港南区のニツ木修身さん(74)の妻、君子さん(77)は、腰にできた10円玉大の床ずれが治らず、どんどんひどくなった。 ケアマネジャーの紹介で、2008年9月17日、区内のふくろ皮膚科の袋秀平院長が自宅を訪れ、診察してくれた。床ずれは直径約6㌢、骨盤の仙骨のすぐ上までの深さだった。l週間後に訪れると、近くに直径約1㌢の別の穴が開いていた。 10月1日、修身さんは君子さんを伴い、元々患っていた進行性の神経難病などの定期診療で、横浜市立大病院を訪れた。主治医が床ずれを見て「これはひどい」と、入院の手配をしてくれた。壊死するなど悪くなった組織を切除する手術を受けた。 14日、君子さんは退院した。順調にいけば、傷は「肉芽」という組織ができてふさがれるのを待つだけだった。袋さんは週に1回の訪問診療を再開した。 しかし、23日の訪問の後、床ずれは悪化していた。11月3日に袋さんが訪れたときには感染を起こし、うんでいた。悪臭もあった。袋さんは「悪くなった組織をもう一度切除する必要がある」と判断。最終的には傷を閉じる手術も必要なことから、床ずれの治療で日ごろから連携している医寮機関の一つ、市立大付属市民総合医療センター(南区)の再建外科の佐武利彦准教授に連絡した。 連絡を受けた佐武さんは、院内での受け入れ態勢の調整に入った。失禁ケアや床ずれの治療・管理などの専門知識と技術がある日本看護師協会認定の皮膚・排泄ケア認定看護師の井口美奈枝さんは、自動で体圧を分散して除湿する高機能エアマットレスを用意した。 3日後、君子さんは入院した。身長143㌢の君子さんの体重は30キ㌔体格指数のBMIは14・6で「低体重」の判断ラインとなる18・5より大幅に低かった。床ずれは6~9㌢大で、仙骨に触れる深さ。詳しく調べると、さらに上に4㌢、左側に9㌢ほどの穴もできていた。 再建外科の黄聖琥医師が主治医となり、君子さんは壊死したり、うんだりした部分を切除する手術を受けた。 修身さんは自宅での介護を希望したが、床ずれになる要因を探って改善しなければ、退院後に傷が再び悪化する可能性があった。井口さんは担当看護師らと、修身さんの希望を聞きながら、介護環境を整えることにした。

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2011年4月21日木曜日

赤あざ5

床ずれ②  薬塗っても悪化、別の医師に相談 横浜市港南区のニツ木修身さん(74)は2008年4月、妻の君子さん(77)の腰に、十円玉大の赤みがあるのに気付いた。 近くの医療機関で床ずれを意味する「褥瘡」と診断され、修身さんは殺菌と傷を治す作用のある薬をガーゼにぬって、毎日交換した。しかし、赤みはどんどん大きくなり、ただれが進んでいった。 「痛いだろう、かわいそうに。一体、何がいけないのか」。修身さんは責任を感じていた。「薬を塗っても、大きくなっているんですが」。医療機関の医師に相談しても、「薬を塗ってください」といった助言しか、かえってこなかった。 君子さんは、区内の特別養護老人ホームが併設するデイサービスに週2回、通っていた。修身さんは塗り薬とガーゼを持たせ、デイでの入浴後に貼り替えてもらっていた。 9月のある日、デイサービスの看護師が「ひどくなってきていますね」と声をかけてくれた。この特養には床ずれに詳しい医師が来て診療しているという。「一度、診てもらってはどうですか」と、看護師は提案した。 ケアマネジャーに相談すると、特養に来ている同区のふくろ皮膚科クリニックの袋秀平院長を紹介してくれた。袋さんは日本褥瘡学会の「在宅褥瘡予防・治療ガイドブック」(08年)の作成に携わっていた。 9月17日、袋さんが自宅を訪れ、君子さんを診察。床ずれは骨盤の仙骨の上の部分。よくできる部位の一つで、直径約6㌢あった。傷の深さは皮下組織を超えて、骨のすぐ上まできていた。 袋さんが食事について聞くと、「口から、自分で食べています」と修身さん。日中、君子さんは車いすで過ごしていると聞き、袋さんは「ドーナツ形の円座はやめ、低反発のクッションにして下さい」と指示した。 傷を洗って清潔に保つことも大切という。袋さんは洗い方も教えた。 毎日1回、傷からしみ出す体液が多いときは2回、低刺激の洗浄剤の泡でやさしく洗い、ふたに穴を開けたペットボトルに人肌の湯を入れてきれいに流す。水は紙おむつなどで吸い取る--という具合だった。 そして、「車いすに座るときは、傷のある場所に圧力がかかり続けないよう注意してください」といった助言をし、それまでとは別の塗り薬を処方した。

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2011年4月20日水曜日

赤あざ4

床ずれ①  車いす生活腰に赤いただれ 「このところ毎日、焼きそばだな」 横浜市港南区の二ツ木修身さん(74)は約7年前、妻君子さん(77)の異変に気付いた。もともと料理は得意だったのに、同じようなメニューが数日間、続くようになった。 「どうしたんだろう」 気になることは、ほかにもあった。息子の妻らへの物言いがきつくなった。近くのスーパーヘ出かけたが、すんなり自宅に戻れず、警察から連絡を受けたこともあった。 2003年5月、横浜市立大病院(横浜市金沢区)で認知症と診断され、アルツハイマー病治療薬を処方された。君子さんは、自宅l階で開いていた琴の教室を閉じた。 やがて腰が曲がり、手が震える症状が出た。06年秋、同病院で認知症に加え、パーキンソン病の疑いもあると言われた。 年明けには歩くことが難しくなり、7月ごろには、日中のほとんどを車いすで過ごす生活に。同病院を再度訪れ、パーキンソン病に似た進行性の神経難病の一つ「大脳皮質基底核変性症」だと診断された。 君子さんは、デイサービスヘ週2回通った。ほかの日は天気が良ければ、修身さんが君子さんを週に2度は車で鎌倉などへ連れて行き、光明寺で桜を見たり、報国寺の竹林を眺めたりして、車いすでの散歩を楽しんだ。 食事も修身さんが1週間のメニューを考え、買い物をして、夫婦2人分を作った。 「私に何かあったらどうするの。料理ができないと困るわよ」。修身さんは以前、君子さんからそう言われ、時々、台所に立っていた。だから苦にならなかった。 08年4月3日、お風呂で君子さんの体を洗っているときに、腰の下の方に、十円玉大の赤みができているのに気付いた。皮膚科もある医療機関に連れて行った。 「これ、何でしょうか」。尋ねる修身さんに、医師は「褥痩ですね。床ずれのことです」。寝たきりの人や車いすの人に多いという。修身さんにとって初めて聞く病名。同じ場所が長時間圧迫を受けることで、皮膚などの組織が壊れてただれることだった。 殺菌と、傷を治す作用がある塗り薬を処方され、「ガーゼに薬を塗って、褥瘡の上に貼ってください」と指示された。修身さんは毎日、言われた通りにガーゼを貼った。しかし、床ずれでできる赤いただれは、どんどん大きくなっていった。   (寺崎筈子)

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2011年4月19日火曜日

赤あざ3

赤あざ④  和らぐ痛み 病気に対して前向きに 札幌市の会社で働く女性(44)は30代半ばから、左足の痛みや腫れに悩まされていた。 皮膚科や整形外科などいろいろな医師にかかったが、症状は悪くなるばかり。先が見えず不安が募ったころ、KKR札幌医療センター斗南病院にある血管腫・血管奇形センターの佐々木了センター長の存在を知った。 昨年4月に受診した。佐々木医師は、これまでの症状を細かく質問してきた。「さすが専門の先生だな」。女性は驚いた。同時に、自分の詰もじっくり聴いてくれると感じ、気持ちが少し楽になった。 MRIや血管造影の結果、女性のあざは混合型血管奇形の一つで、肌の表面近くにある毛細血管と、筋肉内の静脈の奇形が同時に起こることで、ひざの周りの腫れや痛みにつながっていることがわかった。 血管の奇形をつぶすため、血液中にあるヘモグロビンに反応する色素レーザーを当てる治療が始まった。薬剤で血管を固める硬化静法もした。ふくらはぎからももにかけて、数回に分けて注射した。血管が焼けるような感覚がした。 「勤務先に申し訳ない」と感じながら約1年半、同院への入院や外来で治療を続けてきた。あざは、少し薄くなったと思える程度の変化だが、ひざ周りの痛みは和らいだ。 血管の奇形が治ったわけではない。最近はむしろ、奇形のために、肌の表面のでこぼこが日立つようになってきた。左足は全体的に太くなってきていて、昨年まで履いていたブーツが入らなくなった。 混合型血管奇形はまだ治療法が確立していない。だから劇的に良くなることは期待しないようにしている。「一喜一憂せず、先生を信じて、手探りの治寮を続けていこう」。以前のような不安は、もう感じていない。 佐々木医師を頼って全国から患者が集まる。我が子のために、必死に情報を集める親たちがいる。混合型血管奇形の難病指定を求める動きもある。「自分にもできることはないか」と患うようになった。足の血流が滞っで痛みを起こさないよう、患者の多くは医療用スト一ッキングで足を圧迫する必要がある。1足数千円もするのに、デザインがみな同じで、包も3種類くらいしかない。女性にはそれが不満だ。 「みんなでメーカーに改善をお願いしたい」。そんなことを考え始めている。

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2011年4月18日月曜日

赤あざ2

赤あざ③  原因不明の痛みおさまらず 札幌市の会社で働く女性(44)は、左足のつま先から尻にかけて、赤いあざが張りついたようにある。 「これ、同じ病気じゃないかい?」 昨年初め、地元の市議会報を手にした母にそう言われた。複数の血管の形成異常で起こる「混合型血管奇形」を難病に指定するよう、国に意見書を出したとする記事。この病気はあざのような症状が出る、とあった。 あざは、赤ん坊のころからあった。 血管の奇形が原因らしいことは、当時の医師から何となく聞かされていたが、詳しいことはわからなかった。小学校ではなるべくジャージーを着てあざを隠した。 4年生のころ、「どんな痛い思いをしてもいいから、あざを治したい」と母に頼んだ。だが、当時は小学生の自分に合った治療法がなく、病院であざを目立たなくするファンデーションを教えられた。毎朝、母に20~30分かけて塗ってもらった。 「特別扱いできない」と、中学校でジャージーの着用が認められなくなると、割り切ってあざを隠さなくなった。バレー部に入り、足が隠れないふつうの練習着で活動した。高校時代は海に行き、水着姿で遊んだ。 短大を出て就職してからも、同僚と同じ制服のスカートをはいた。他人の視線が気になったが、「どう思われてもいい」と自分に言い聞かせていた。 30代半ばごろ、左ひざがビリビリ痛み始めた。トゲが刺さったように感じた。 ひざのやや上にごま粒大のしこりがあった。痛みの元のように思えて、気になった。やがてひざ全体が腫れだし、近くの整形外科に行った。「あざが関係しているかも」と指摘され、皮膚科で腫れた場所にレーザーを当てた。でも何も変わらなかった。 その後、左足に静脈瘡という血管のこぶが見つかり、手術した。それでも痛みや腫れは治まらない。原因がわからないまま、痛みの範囲が徐々に広がっていった。 このころ知り合った年配の女性に「あなたのあざを見たくない人もいるんじゃない?」と言われた。想った事もない考えだった。 市議会報を見たのは、そんなころ。 インターネットで調べると、KKR札幌医療センター斗南病院の佐々木了医師が専門だとわかった。「この先生に診てぼしい」。光が差したような気がした。

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2011年4月15日金曜日

赤あざ1

赤あざ①  レーザー治療10年、効果実感できず 「何とかなるって、大丈夫」。札幌市の女子高校生(16)は、楽しみにしていた小学校の運動会の直前に足をねんざした時も、両親に学校の成績を心配される時も、いつも笑顔でこの言葉を返してきた。 小さいころから楽天的な娘のあっけらかんとした明るさに、「随分助けられてきたな」と母(43)は思う。 生まれたときから、柔らかくふっくらした顔の右半分に赤いあざがあった。 「妊娠中におなかをぶつけるか何かしたんでしょうか」と詰め寄る母に、大学病院の医師は「原因はよくわかっていませんが、お母さんのせいでも遺伝でもありません」ときっぱり言った。 赤あざは、青あざと違って皮膚そのものが赤いわけではない。血管内に良性のしこりができるか、血管の形成が異常なために皮膚の表面が赤く見える。異常な血管が盛り上がって出血や神経の圧迫が起きると、視力や知能、運動機能にも影響が出る。 女子高校生のあざは「単純性血管腫」。毛細血管が異常に発達するタイプだ。旧ソ連のゴルバチョフ元大統領の頭のあざと同じという。目や脳内に異常は見つからなかった。 1歳過ぎ、生まれた病院の形成外科であざにレーザーを当てる治療が始まった。血液中のヘモグロビンに反応する「色素レーザー」を使い、異常な血管をつぶす方法だ。幼いころは全身麻酔で照射を受けたが、小学生になると外来での部分麻酔になった。 診察室のベッドに横になり、目を保護するゴーグルを着けると、治療の様子は見えなかった。パシュッ、パシュッという音とともに、針で刺されたような痛みが走った。数分の治療だが、長い時間に感じた。その間ずっと息を止めて体を硬直させ、付き添う母の手につめの跡がくっきり残るほど強く握った。 学校は楽しく、あざがどう見えるかば気にならなかった。けれど、治療から約2週間は、日に焼けないよう外で遊べなかった。衝撃で出血しないよう屋内での体育の授業も休んだ。運動が好きなのに、思いっきり体を動かせないのがつらかった。 あざが薄くなったという実感はなかった。血管が盛り上がってこないことだけを願って10年以上、ほぼ休まずに治療を続けてきた。 中学校に入って環境が変わるのを機に、しばらく休むことにした。

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出典 朝日新聞

2011年4月14日木曜日

青あざ3

青あざ③  レーザーで治療素顔で外へ 札幌市の岸田美智代さん(53)は、左ほおのしこりの治寮で訪れたKKR札幌医療センター斗南病院(札幌市)で、レーザーを当てて顔の青あざ「太田母斑」を薄くする治療法を知った。 2008年秋、石のもみ上げの下の約1㌢四方に、テスト照射を受けた。効果やダメージを見るのが目的だった。.五つぼどの輪ゴムで同時にはじかれたよな痛みを感じた。 使われたのは、「Qスイッチアレキサンドライトレーザー」。原因となる過剰に集まったメラニン色素を破壊する。 太田母斑の治療は以前、ドライアイスで凍傷を起こしてはがしたり、皮膚を移植したりしていた。現在は、レーザーを3~5回ぼど照射するのが一般的で、健康保険も適用されている。 テスト照射を終えた岸田さんは、「本当にき丸いになるのかな」と思小ながら、治寮を受けることにした。入院し、全身麻酔であざの一部にレーザーが当てられた。直後はヒリヒリするように痛んだ。1週間後、初めて自分でガーゼをとって患部を見ると、熱の影響で患部が赤黒くなっていた。 医師からは「数週間で黒さがひいて、あざの包も薄くなる」と説明されていたが、「本当に元に戻るのかな。何もしないぼうがよかったかも」と気持ちが滞れた。 その後、確かに果さはひいたが、あざの色が薄くなったとは感じなかった。それでも、「先生の言葉を居じてみよう」と思い、4~6カ月おきに範囲を広げながら、照射を受け
続けた。 「だいぶ薄くなったな」。4回目の照射を終え在今年初め、自宅で鏡を見て、そう感じた。それからは、ファンデーションを塗らずにスーパーに出かけるようになった。6月には5回目を受けて、いまは肌にうっすら青みがかかる程度。ほとんど日立たないまでになった。家族や友人には「本当に白くなったね」と言われた。 高校生のころ、友人にファッション誌のモデルへの応募を勧められたが、髪を高く結えば化粧でもあざを隠しきれない、と断った。女優、客室乗務員、看護師。あこがれた職業も、すべてあきらめた。 「もしあざがなかったら、人生違っていたかも」と思うことはある。けれど、素顔で外に出かけられるだけで、いまは十分だ。

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2011年4月13日水曜日

青あざ2

青あざ② 出産のたび拡大、気に病む毎日 札幌市の岸田美智代さん(53)は、赤ん坊のころから顔に青いあざがあった。小学校でいじめられたが、皮膚を移植してまであざを消そうとは思わなかった。首筋が隠れるように髪を結ったり、あざ専用のファンデーションを塗ったりして、目立たないようにした。 中学では、あざのことをからかう生徒はいなかった。仲良くなった子は「あざのことは気にしないで」と言い、男女を問わず、同級生が自宅に遊びに来るようになった。 高校を卒業し、地元企業に事務職として就職した。学生時代と違って毎日メークをするようになると、1個1000円前後の専用ファンデーションを月に2、3個使った。 21歳のとき、同期入社の男性と結婚した。あざがあることは結婚前から話していたが、新婚旅行で初めて素顔を見せた。「何も気にしなくていいよ」と話していた夫の表情は、いつもと変わらなかった。 翌年、長男を産んだころ、あざがまぶたまで広がって凄た。「ホルモンバランスが変わったせいかな」。あまり気にしなかった。でも、長女と次女を産むたびに、あざは広がり、30歳になるころには、顔の右側を覆うまでになった。 子育てや仕事に忙しく、離婚も経験した。病院に行く暇がなくて、ファンデーションで隠し続けた。冬、首元まである服を着ると、べっとりとメークがついた。化粧をしていない時に宅配業者などが来ると、居留守を使った。札幌市内でも数カ所でしか売っていないファンデーションの買い置きがなくなると、不安でたまらなかった。 ある日、5、6歳だった長女が、突然、「お母さんの顔、気持ち悪い」と言い出した。5歳上の長男が長女を平手でたたいた。岸田さんは後日、子どもたちに「醜くてごめんね」と言った。 2008年秋、左ほおに以前からあったしこりが痛み出し、KKR札幌医療センター斗南病院(札幌市)を訪れた。しこりを切除するために化粧を落とすと、青いあざがあらわになった。 「真っ白になるとまでは言えませんが、レーザーであざを治辞してみませんか」。形成外科の医師から声をかけられた。 岸田さんはとりあえず、テスト照射を受けることにした。

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2011年4月12日火曜日

青あざ1

青あざ①  額と首筋に…「人とは違うんだ」 今年7月、札幌市の集合住宅の一室で玄関の呼び鈴が鳴った。この部屋に住む岸田美智代さん(53)は、「ちょっと待って下さい」と言いそうになった。「化粧をしなくぢゃ」と思ったからだ。 けれど、思い直してこの日は素顔のまま玄関のドアを開け、宅配業者と向かい合った。 近所のスーパーへの買い物、新聞の集金やベランダでの洗濯もの干し。数カ月前までは、一歩でも外に出るときは必ず化粧をした。顔にある青いあざを隠すためだった。 そのあざは、2008年秋に始めたレーザー治安で、ほとんどわからないまでに薄くなった。とはいっても、この日、宅配の荷物を受け取りながら、少し恥ずかしい気持ちになった。素顔のままで人前に出ることに、まだ慣れていなかった。 人間の皮膚は表面から順に、表皮、真皮、皮下組織に分かれる。青あざは、肌の色を決めるメラニン色素が、真皮に過剰に集まるためにできる。赤ん坊のころ、額の石上部と首筋に青い斑があった。両親は医師から「いずれ消えるでしょう」と説明されたが、数年たっても色は薄くならなかった。 小学生になってすぐ、近所に住む男子大学生が似顔絵を描いてくれた。絵を見た2歳下の妹が額を指さしながら、「ここ足りないよ。青く塗って」と言った。 その言葉が心に刺さった。岸田さんは何も言えず、「自分は他の子とは違うんだ」と初めて実感した。やりとりを知った母に妹がしかられるのを見て、余計つらくなった。 高学年になると、「うつるからそばに寄るな」と言われ、学校に行きたくなくなった。でも、家族には相談できなかった。 買ってもらったばかりのワンピースの背中に、クラスの男の子が油性ペンで落書きをしたときは隠しきれなかった。怒った母が、相手の子の家に怒鳴り込んだ。 中学校に上がる少し前、母から「つらいよね。お母さんの皮膚を移植したら、きれいになるよ」と言われた。 当時の治安の一つに、あざを切除して体の他の部分から皮膚を移植する方法があった。あざは消えるものの、顔に手術の跡は残る。母の体への負担や、費用も心配だった。「このままでいい」。岸田さんはそう返事した。(南宏美)

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2011年4月8日金曜日

床ずれ4

床ずれ⑥情報編 在宅介護にも予防プランを 「床ずれ」 (褥瘡)は、同じ場所が圧迫され続けるとできる。日本褥瘡学会の「在宅褥瘡予防・治療ガイドブック」などによれば、自分で姿勢をかえることや寝返りするのが難しく、日中の多くをベッドや車いすで過ごす▽十分な量の食事がとれずに栄養状態が悪い▽やせて骨が出ている▽尿や便の失禁が続く-といった人たちがなりやすい。 2006年の同学会の実態調査によると、床ずれを起こした人の割合は、一般病院で2・2%、特別養護老人ホーム2・5%、老人保健施設2・7%に対し、訪問看護は8・3%と、施設よりも在宅の方が高かった。 金沢大医薬保健研究域保健学系の須釜淳子教授(創傷看護学)らは、08年に全国の訪問看護ステーションの中から床ずれの患者445人のデータを集め、予防や管蓮法のほか、できやすい場所、要介護度などを分析した。 床ずれは骨が出っ張ったところにできやすいが、最も多かったのは「患者を生きる・床ずれ」で紹介したニツ木君子さんと同じ骨盤の仙骨部で35%。次いで、かかとの骨10・1%、太ももの大腿骨の上端9・9%だった。 患者の割合を要介護産別でみると、要支援1~要介護2では0~4%だが、要介護3になると12・4%に増え、要介護4は18・2%、要介護5では甲5%を占めた。 要介護3以上だと、自力で立ち上がったり、歩いたりするのが難しく、排泄や入浴、着替えも介助が必要な人が多い。床ずれになりやすい条件にも当てはまる人が増えてくる。ガイドブックでは「要介護3以上の人には、必ずケアプランに床ずれ予防を入れ込む」としている。 同学会の在宅医療委員会委員長、南由起子さんは、今後、在宅での床ずれの予防やケアがより重要な課題になると指摘する。必要とする医療や介護のレベルが高い人が在宅で過ごすことや、高齢者が高齢者を介護する「老老介護」が増えてきているためだ。 栄養状態が悪くなったり、動けなくなったりすると、肺炎などにもかかりやすくなる。床ずれを予防することは、ほかの病気や状態の悪化を防ぐことにもつながるという。 「自分で動くことが難しくなってきたら、床ずれの予防や早期治療にもつなげられるよう、訪問看護をケアプランに入れた方がいい。ケアマネジャーに相談して下さい」。南さんはそう助言する。   (寺崎省子)

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2011年4月7日木曜日

床ずれ3

床ずれ③  広がる穴 2度の切除手術 横浜市港南区のニツ木修身さん(74)の妻、君子さん(77)は、腰にできた10円玉大の床ずれが治らず、どんどんひどくなった。 ケアマネジャーの紹介で、2008年9月17日、区内のふくろ皮膚科の袋秀平院長が自宅を訪れ、診察してくれた。床ずれは直径約6㌢、骨盤の仙骨のすぐ上までの深さだった。l週間後に訪れると、近くに直径約1㌢の別の穴が開いていた。 10月1日、修身さんは君子さんを伴い、元々患っていた進行性の神経難病などの定期診療で、横浜市立大病院を訪れた。主治医が床ずれを見て「これはひどい」と、入院の手配をしてくれた。壊死するなど悪くなった組織を切除する手術を受けた。 14日、君子さんは退院した。順調にいけば、傷は「肉芽」という組織ができてふさがれるのを待つだけだった。袋さんは週に1回の訪問診療を再開した。 しかし、23日の訪問の後、床ずれは悪化していた。11月3日に袋さんが訪れたときには感染を起こし、うんでいた。悪臭もあった。袋さんは「悪くなった組織をもう一度切除する必要がある」と判断。最終的には傷を閉じる手術も必要なことから、床ずれの治療で日ごろから連携している医寮機関の一つ、市立大付属市民総合医療センター(南区)の再建外科の佐武利彦准教授に連絡した。 連絡を受けた佐武さんは、院内での受け入れ態勢の調整に入った。失禁ケアや床ずれの治療・管理などの専門知識と技術がある日本看護師協会認定の皮膚・排泄ケア認定看護師の井口美奈枝さんは、自動で体圧を分散して除湿する高機能エアマットレスを用意した。 3日後、君子さんは入院した。身長143㌢の君子さんの体重は30キ㌔体格指数のBMIは14・6で「低体重」の判断ラインとなる18・5より大幅に低かった。床ずれは6~9㌢大で、仙骨に触れる深さ。詳しく調べると、さらに上に4㌢、左側に9㌢ほどの穴もできていた。 再建外科の黄聖琥医師が主治医となり、君子さんは壊死したり、うんだりした部分を切除する手術を受けた。 修身さんは自宅での介護を希望したが、床ずれになる要因を探って改善しなければ、退院後に傷が再び悪化する可能性があった。井口さんは担当看護師らと、修身さんの希望を聞きながら、介護環境を整えることにした。

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2011年4月6日水曜日

床ずれ2

床ずれ②  薬塗っても悪化、別の医師に相談 横浜市港南区のニツ木修身さん(74)は2008年4月、妻の君子さん(77)の腰に、十円玉大の赤みがあるのに気付いた。 近くの医療機関で床ずれを意味する「褥瘡」と診断され、修身さんは殺菌と傷を治す作用のある薬をガーゼにぬって、毎日交換した。しかし、赤みはどんどん大きくなり、ただれが進んでいった。 「痛いだろう、かわいそうに。一体、何がいけないのか」。修身さんは責任を感じていた。「薬を塗っても、大きくなっているんですが」。医療機関の医師に相談しても、「薬を塗ってください」といった助言しか、かえってこなかった。 君子さんは、区内の特別養護老人ホームが併設するデイサービスに週2回、通っていた。修身さんは塗り薬とガーゼを持たせ、デイでの入浴後に貼り替えてもらっていた。 9月のある日、デイサービスの看護師が「ひどくなってきていますね」と声をかけてくれた。この特養には床ずれに詳しい医師が来て診療しているという。「一度、診てもらってはどうですか」と、看護師は提案した。 ケアマネジャーに相談すると、特養に来ている同区のふくろ皮膚科クリニックの袋秀平院長を紹介してくれた。袋さんは日本褥瘡学会の「在宅褥瘡予防・治療ガイドブック」(08年)の作成に携わっていた。 9月17日、袋さんが自宅を訪れ、君子さんを診察。床ずれは骨盤の仙骨の上の部分。よくできる部位の一つで、直径約6㌢あった。傷の深さは皮下組織を超えて、骨のすぐ上まできていた。 袋さんが食事について聞くと、「口から、自分で食べています」と修身さん。日中、君子さんは車いすで過ごしていると聞き、袋さんは「ドーナツ形の円座はやめ、低反発のクッションにして下さい」と指示した。 傷を洗って清潔に保つことも大切という。袋さんは洗い方も教えた。 毎日1回、傷からしみ出す体液が多いときは2回、低刺激の洗浄剤の泡でやさしく洗い、ふたに穴を開けたペットボトルに人肌の湯を入れてきれいに流す。水は紙おむつなどで吸い取る--という具合だった。 そして、「車いすに座るときは、傷のある場所に圧力がかかり続けないよう注意してください」といった助言をし、それまでとは別の塗り薬を処方した。

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2011年4月5日火曜日

床ずれ1

床ずれ①  車いす生活腰に赤いただれ 「このところ毎日、焼きそばだな」 横浜市港南区の二ツ木修身さん(74)は約7年前、妻君子さん(77)の異変に気付いた。もともと料理は得意だったのに、同じようなメニューが数日間、続くようになった。 「どうしたんだろう」 気になることは、ほかにもあった。息子の妻らへの物言いがきつくなった。近くのスーパーヘ出かけたが、すんなり自宅に戻れず、警察から連絡を受けたこともあった。 2003年5月、横浜市立大病院(横浜市金沢区)で認知症と診断され、アルツハイマー病治療薬を処方された。君子さんは、自宅l階で開いていた琴の教室を閉じた。 やがて腰が曲がり、手が震える症状が出た。06年秋、同病院で認知症に加え、パーキンソン病の疑いもあると言われた。 年明けには歩くことが難しくなり、7月ごろには、日中のほとんどを車いすで過ごす生活に。同病院を再度訪れ、パーキンソン病に似た進行性の神経難病の一つ「大脳皮質基底核変性症」だと診断された。 君子さんは、デイサービスヘ週2回通った。ほかの日は天気が良ければ、修身さんが君子さんを週に2度は車で鎌倉などへ連れて行き、光明寺で桜を見たり、報国寺の竹林を眺めたりして、車いすでの散歩を楽しんだ。 食事も修身さんが1週間のメニューを考え、買い物をして、夫婦2人分を作った。 「私に何かあったらどうするの。料理ができないと困るわよ」。修身さんは以前、君子さんからそう言われ、時々、台所に立っていた。だから苦にならなかった。 08年4月3日、お風呂で君子さんの体を洗っているときに、腰の下の方に、十円玉大の赤みができているのに気付いた。皮膚科もある医療機関に連れて行った。 「これ、何でしょうか」。尋ねる修身さんに、医師は「褥痩ですね。床ずれのことです」。寝たきりの人や車いすの人に多いという。修身さんにとって初めて聞く病名。同じ場所が長時間圧迫を受けることで、皮膚などの組織が壊れてただれることだった。 殺菌と、傷を治す作用がある塗り薬を処方され、「ガーゼに薬を塗って、褥瘡の上に貼ってください」と指示された。修身さんは毎日、言われた通りにガーゼを貼った。しかし、床ずれでできる赤いただれは、どんどん大きくなっていった。   (寺崎筈子)

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2011年4月1日金曜日

アトピー情報5

子どものアトピー⑥情報編 まず症状抑えて、食事見直し アトピー性皮膚炎を患う小さな子どもは、じんましんや呼吸困難などのショック症状を起こす食物アレルギーにも、苦しむことが多い。これは」特定の食べ物を体が異物とみなして免疫が過剰に働いて起こる。 国立病院機構相模原病院の海老沢元宏アレルギー性疾患研究部長らの研究では、同病院でアトピーと診断された乳児の70%以上が食物アレルギーも起こしていた。 「患者を生きる 子どものアトピー」①~⑤で細介した母親のように、アトピーによる湿疹などの症状も徹底した食事制限で治る、と考える人は多い。食物アレルギーが関係しないアトピー性皮膚炎も少なくなく、「区別して考えることが大切」と海老沢部長。 両者の関係については、まだよくわかっていない。国立成育医療研究センターの大矢幸弘アレルギー科医長によると、乳児期にアトピーなどで湿疹ができ、皮膚のバリアが弱まると、皮膚を通して体内に入った食物の成分やホコリが異物と認識され、アレルギー反応を引き起こすことがあるという説が、最近では有力になっているという。 食物アレルギーが疑われる場合でも、まずは皮膚の症状を抑え、.バリア機能を回復させる必要がある。厚生労働省研究班による「食物アレルギーの診療の手引き2008」では、ステロイドの塗り薬やスキンケアといったアトピーの治療をしても症状が改善しない場合、食物アレルギーの影響を疑い、原因の食物を絞り込む=チャート=としている。 血液を採って、食物の成分と反応をしないか調べたり、専門医の監視のもとでその食べ物をとって症状を調べる「食物負荷試験」をしたりして、取りのぞく食物を判断する。 ただ、アレルギーの症状を起こさなくても血液検査に反応することがあるので、注意が必要だ。血液検査だけでなく食物負荷試験などの鞋果をもとに、最小限の食事制限にとどめるのが原則だ。 食物アレルギーが関係しないアトピーも、ダニ、ホコリ対策など家庭での取り組みを続けることが大切だ。 小さな子どもは、自分ではうまくスキンケアができない。「1日2、3回、よく泡立てたせっけんでもみ洗いしてあげて欲しい。継続したスキンケアや掃除などの環境整備は、お子さんの肌をつるつるに保つための出発点です」と大矢医師はいう。  (林義則)

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2011年3月31日木曜日

アトピー情報4

大人のアトピー⑥情報編 薬の強さ・量症状に応じてアトピー性皮膚炎の患者は、厚生労働省の2008年患者調査によれば全国に約35万人いる。年代別では10歳未満が全体の3割と多いが、20代以上も6割を占めている。 アトピーは、生まれ持った体質や環境要因などが合わさり、肌のバリアーとしての機能が弱まって起こる。九州大の古江増隆教授(皮膚科)は「発症には受験や就職活動、仕事などのストレスも影響している」と話す。 バリアーが弱まった状態で刺激が体内に入ると、肌の内側に炎症を起こす司令塔役の細胞が集まって周囲に指令を出し、かゆみや腫れなどにつながると考えられている。 治揆の基本は保湿だ。症状は、軽ければ保湿剤などを塗ってバリアーを回復させると治まる。だがト司令塔細胞が結集する段階まで進むと、保湿だけでは太刀打ちできない。ステロイドやタクロリムスの塗り薬は、この司令塔の働きを抑えることが確認されている。 ステロイドはホルモンの一種で、誰もが体内に持っている。治寮ではこの成分を外から補う。塗り薬は強さが5段階あり、症状や部位に合わせて使い分ける。強い薬から徐々にランクを落とし、塗る頻度を減らしていく。 適度な強さの薬を、適量、適切な期間使うことが大切だ。塗ってもよくならない場合は、薬の強さが合っていない、塗る量が足りないといった理由が考えられる。 かゆみが治まっても皮膚が黒ずむ、厚くゴワゴワする場合は、炎症が続いている可能性がある。司令塔役をしっかり抑え込まないと、少しの刺激で炎症がまた強まる。東京逓信病院の江藤隆史医師は「ステロイドをきちんと使えば、ほとんどの人が保湿だけでよい状態の肌を保てるようになります」と話す。 肌からしみ込んだステロイド薬は皮膚内の分解酵素で代謝され、血液中にはほとんど移行せず、皮下にたまることもないという。ただ、まれに塗った場所が多毛になったり、皮膚が薄くなったりすることがある。これらは いずれも薬をやめれば治る。 タクロリムス軟膏は、ステロイドに比べて副作用の心配が少ないとされる。顔などに使うが、塗ったときにヒリヒリと灼熱感を覚えることがある。強さは1段階だけだ。 白身も患者という日本アレルギー友の会の丸山恵理事務局長(50)は「医師の助言を理解して治療を進めるために患者も正しい知識を持つことが大切」と話す。 (鈴木彩子)

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2011年3月30日水曜日

アトピー情報3

子どものアトピー④ 薬と肌ケア効果出たのに罪惑感 次男(5)のアトピー性皮膚炎の治療に疲れ果てていた札幌市の女性(42)は2007年11月、すがる思いで、厚生労働省が市内で開いたシンポジウムを聴きに行った。 壇上では、国立成育医寮センター(現国立成育医寮研究センター)の専門医らが、アトピーや食物アレルギーの症状をコントロールするこつを話していた。 ステロイド剤や保湿剤による計画的な薬物治療、徹底的なスキンケア、ダニやホコリなど悪化要因への対策が、治療の柱になること。食事療法で食べ物を過剰に除去すると、成長の障害につながりかねないこと。 治療の羅針盤とするため学会が作った診寮ガイドラインの存在を、初めて知った。 でも、薬物療法もダニ対策ももうやっている。「どう薬を使い、スキンケアをどうすればいいのか」。それが分からず、少し不満だった。 「医療や薬への不信を募らせず、ガイドラインを知って治療を選べば、子どもの症状も変わります」。シンポの最後に講演した患者団体「アレルギーを考える母の会」の園部まり子代表(56)が会場に呼びかけた。その声は力強く、表情は明るかった。 講演を終えた園部代表に、夫と駆け寄った。「とにかく話を聞いて欲しい。食事療法で、食べられるものがほとんどないんです」 行き過ぎた除去食寮法で栄養が不足し、皮膚炎を悪化させたり、成長障害を起こしたり-。園部さんは、そんな子どもの相談例をたくさん耳にしていた。 講演していた同センターの大矢幸弘アレルギー科医長への相談を勧められた。札幌から800㌔以上離れた東京での治療になるが、迷いはなかった。「すぐ行こう」。夫も賛成してくれた。食事療法の効果に、夫も疑問を感じていた。 2カ月後の08年1月、センターに入院。治療内容はこれまでと全然違っていた。 清常な肌を保つため、1日に3回入浴し、ステロイドの塗り薬を皮膚が隠れるほど厚く塗り広げる。効果はすぐに表れ、皮膚は2、3日でつるつるになった。 ところが、かつて抱いていた罪悪感が女性の中でまたふくらみ、不安になった。「このままステロイド漬けになるのでは」。夜の病室でぐっすり眠る次男の顔を見ながら、ひとり、涙を流した。

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2011年3月29日火曜日

アトピー情報2

大人のアトピー④ 入院の末ようやく背筋伸びた埼玉県の荻野美和子さん(31)は、漢方でアトピー性皮膚炎を治そうとしたが、5年半たっても改善しなかった。家族の勧めで2006年10月、東京逓信病院を受診した。皮膚科部長の江藤隆史医師が示した治療は、あれほど嫌ったステロイドの塗り薬を使う普通の方法。「魔法の病院かもしれない」という期待は、すぐに裏切られた。「ステロイド治療は受けません」と言って帰宅した。 だが、迷った。 漢方を居じた5年半を無駄にしたくない一方、「このままでは良くならない」とも感じていた。会社も休みがちで、両親の支えがなければ生活ができない。心も休も疲れきっていた。新しい治寮を探す気力は残っていない。目の前の治療にすがるしかなかった。 覚悟を決め、東京逓信病院に連絡した。 炎症とかき壊しを繰り返した荻野さんの肌は、ゴワゴワに分厚くなり、体液もにじみ出る重症の状態だった。即、入院が決まった。 仕事を休み、10月17日から入院した。朝夕2回シャワーを浴び、上がると看護師が全身に薬を塗る。薬の塗り方や量は、高校生の頃とは全く違っていた。 まず保湿剤を塗り、炎症を抑えるステロイドを肌にたっぷりと乗せて広げた。さらに、傷の治りを助ける軟膏(亜鉛華軟膏)を塗った白い布を重ね、その上に包帯を巻いた。顔には弱めのステロイドを塗った。さすがに恥ずかしくて病院の売店に行けなかった。 数日後、全身にあったひっかき傷が閉じ始めた。パンパンだった手足の腫れも引いた。かさぶたや痛んだ皮膚がはがれて、その下に普通の肌ができていた。 3日目ごろから、背中にはステロイド剤が不要になり、保湿だけになった。顔は、ステロイドより副作用の少ないタクロリムス軟膏に変わった。このころにはシャワーから上がっても、肌がつっぱらなくなった。物を取るために腕を伸ばしても、肌がきしまない。 「みんなこんなに快適な生活をしているのか」としみじみと思った。 8日目に退院した。まだ肌に赤みは残っていたけれど、腫れやゴワつきがなくなり、なめらかな肌に戻っていた。 翌朝から仕事に復帰した。自宅から駅まで約10分。バレエをやっていた頃のように、胸を斜め上に引き上げ、背筋をスッと伸ばして歩いた。もう太陽が怖くなかった。

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2011年3月28日月曜日

アトピー情報1

子どものアトピー③ 絞れぬ原因 増える除去食 札幌市の女性(42)は06年7月、「食物アレルギーの名医」と口コミで評判だった市内の小児科を受診した。食事療法で次男(5)のアトピー性皮膚炎を治すつもりだった。 実際、食べ物がアトピーを悪化させることばある。ただ、まず皮膚の炎症を抑えてからでないと、食べ物が関係しているのかどうか、判断できない。でも女性は「食事をがんばれば、きっと治る」と信じていた。 米と小麦の除去から始まった。オートミールやアワに加え、制限のない魚や果物を中心に次男用の食事作りに工夫を重ねた。ステロイド剤はまもなく処方されなくなった。 症状は改善せず、全身の赤みが再発した。 07年3月、制限のないキウイを食べた次男の口が腫れ呼吸困難に陥った。食物アレルギーによるアナフィラキシーショックだった。 「米と小麦以外にも原因の食事があるかもしれない。もっと徹底して制限しないと」。そんな思いが強まった。自宅を念入りに掃除し始めたのもこのころだ。 5月には、別の小児科クリニックを知人に紹介された。受診すると、医師から一枚の紙を渡された。 アレルギーの原因と疑った卵、乳製品、エビ、タコ、貝類を食べないとの指導に加え、腸内環境を乱す砂糖や酸化した油、スナック菓子、果物も避けるように、とあった。 「こんなにたくさん?」。最初は驚いたが、「がまんしていればよくなる」と言い聞かせた。しかし、血液検査で反応が出た食材が次々と追加され、除去食は増え続けた。 指示を受けて毎食の献立に使った食材を食事日誌に記録した。アトピーの症状と関係ありそうな食べ物があればしばらく食べるのをやめ、影響がないか確認しながら、再び食べ始めるというやり方だった。 皮膚をどうケアすべきかについて医師の指導はなく、自由診療の別の病院から郵送される、「成分不明」の塗り薬を使った。 食事日誌とのにらみあいが続いた。しかし、症状は一進一退で、原因となる食材が絞り切れない。首筋や口の周りの赤み、ひじやひざのかき崩しはたびたび再発した。 コンニャク、マグロ、牛肉や鶏肉……。制限する食材は増える一方だった。買い物先のスーパーで突然顔がはれてから、原因物質を吸い込んだのかと思い、外出も控えた。何が原因なのか。考える気力もうせていた。

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