2011年4月12日火曜日

青あざ1

青あざ①  額と首筋に…「人とは違うんだ」 今年7月、札幌市の集合住宅の一室で玄関の呼び鈴が鳴った。この部屋に住む岸田美智代さん(53)は、「ちょっと待って下さい」と言いそうになった。「化粧をしなくぢゃ」と思ったからだ。 けれど、思い直してこの日は素顔のまま玄関のドアを開け、宅配業者と向かい合った。 近所のスーパーへの買い物、新聞の集金やベランダでの洗濯もの干し。数カ月前までは、一歩でも外に出るときは必ず化粧をした。顔にある青いあざを隠すためだった。 そのあざは、2008年秋に始めたレーザー治安で、ほとんどわからないまでに薄くなった。とはいっても、この日、宅配の荷物を受け取りながら、少し恥ずかしい気持ちになった。素顔のままで人前に出ることに、まだ慣れていなかった。 人間の皮膚は表面から順に、表皮、真皮、皮下組織に分かれる。青あざは、肌の色を決めるメラニン色素が、真皮に過剰に集まるためにできる。赤ん坊のころ、額の石上部と首筋に青い斑があった。両親は医師から「いずれ消えるでしょう」と説明されたが、数年たっても色は薄くならなかった。 小学生になってすぐ、近所に住む男子大学生が似顔絵を描いてくれた。絵を見た2歳下の妹が額を指さしながら、「ここ足りないよ。青く塗って」と言った。 その言葉が心に刺さった。岸田さんは何も言えず、「自分は他の子とは違うんだ」と初めて実感した。やりとりを知った母に妹がしかられるのを見て、余計つらくなった。 高学年になると、「うつるからそばに寄るな」と言われ、学校に行きたくなくなった。でも、家族には相談できなかった。 買ってもらったばかりのワンピースの背中に、クラスの男の子が油性ペンで落書きをしたときは隠しきれなかった。怒った母が、相手の子の家に怒鳴り込んだ。 中学校に上がる少し前、母から「つらいよね。お母さんの皮膚を移植したら、きれいになるよ」と言われた。 当時の治安の一つに、あざを切除して体の他の部分から皮膚を移植する方法があった。あざは消えるものの、顔に手術の跡は残る。母の体への負担や、費用も心配だった。「このままでいい」。岸田さんはそう返事した。(南宏美)

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出典 朝日新聞

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