2011年4月5日火曜日

床ずれ1

床ずれ①  車いす生活腰に赤いただれ 「このところ毎日、焼きそばだな」 横浜市港南区の二ツ木修身さん(74)は約7年前、妻君子さん(77)の異変に気付いた。もともと料理は得意だったのに、同じようなメニューが数日間、続くようになった。 「どうしたんだろう」 気になることは、ほかにもあった。息子の妻らへの物言いがきつくなった。近くのスーパーヘ出かけたが、すんなり自宅に戻れず、警察から連絡を受けたこともあった。 2003年5月、横浜市立大病院(横浜市金沢区)で認知症と診断され、アルツハイマー病治療薬を処方された。君子さんは、自宅l階で開いていた琴の教室を閉じた。 やがて腰が曲がり、手が震える症状が出た。06年秋、同病院で認知症に加え、パーキンソン病の疑いもあると言われた。 年明けには歩くことが難しくなり、7月ごろには、日中のほとんどを車いすで過ごす生活に。同病院を再度訪れ、パーキンソン病に似た進行性の神経難病の一つ「大脳皮質基底核変性症」だと診断された。 君子さんは、デイサービスヘ週2回通った。ほかの日は天気が良ければ、修身さんが君子さんを週に2度は車で鎌倉などへ連れて行き、光明寺で桜を見たり、報国寺の竹林を眺めたりして、車いすでの散歩を楽しんだ。 食事も修身さんが1週間のメニューを考え、買い物をして、夫婦2人分を作った。 「私に何かあったらどうするの。料理ができないと困るわよ」。修身さんは以前、君子さんからそう言われ、時々、台所に立っていた。だから苦にならなかった。 08年4月3日、お風呂で君子さんの体を洗っているときに、腰の下の方に、十円玉大の赤みができているのに気付いた。皮膚科もある医療機関に連れて行った。 「これ、何でしょうか」。尋ねる修身さんに、医師は「褥痩ですね。床ずれのことです」。寝たきりの人や車いすの人に多いという。修身さんにとって初めて聞く病名。同じ場所が長時間圧迫を受けることで、皮膚などの組織が壊れてただれることだった。 殺菌と、傷を治す作用がある塗り薬を処方され、「ガーゼに薬を塗って、褥瘡の上に貼ってください」と指示された。修身さんは毎日、言われた通りにガーゼを貼った。しかし、床ずれでできる赤いただれは、どんどん大きくなっていった。   (寺崎筈子)

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出典 朝日新聞

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