2011年5月17日火曜日

茶あざ3

茶あざ③  腫瘍内の血流止め切除手術 石の腕から肩にかけてあった茶あざの一部がこぶのように膨らんだ千葉県の大学生、永井伸雄さん(23)は2003年7月、埼玉医大病院で切除を受けることになった。 永井さんの腕にある神経線維腫は、内部に多くの異常な血管がある「びまん性」というタイプだった。これだと、出血を防ぐのに使う血管収縮剤という薬が効かない。 皮膚科の倉持朗医師は、先に血流を妨げてから腫瘍を切除しようと考えた。永井さんと両親に、絵を描きながら手法を説明した。 腫瘍と周辺の血管に造影剤を入れて観察しながら、細いカテーテルを太ももから入れて1㍉角のゼラチンスポンジを運び、腫瘍内の異常な血管を1本ずつふさいで、血流をほとんどなくしてから切り取る、という。 永井さんは「すごい手術をするんだな」と感心した。 腫瘍が顔面にあれば、目や脳に影響するかもしれないので使えない。どの患者にもできる手法ではなく、腕にあったのが幸いした。 手術の4日前、放射線科の医師がカテーテルを操作し、ゼラチンスポンジを入れた。3時間ほどすると、腫瘍がしぼみ始めた。手術当日の朝には、ぶよぶよとした以前のような感触がなくなり、大きさも3分の2ほどになっていた。「なんか元気なくなったな」と永井さんは思った。 手術では、腕の盛り上がった部分と筋肉の中に入り込んでいた腫瘍の一部を切り取った。出血量は約10∝で済んだ。 内部の血流を事前に止めていなければ、1千~2千CCの出血があってもおかしくなかった。今回の手法で「出血を200~300∝に抑えられればいい」とみていた倉持医師にとって、予想外の少なさだった。手術が無事に終わったことを、笑顔で両親に伝えた。 「すっきりしたな」。麻酔から覚めた永井さんは、腫瘍が消えた腕を見てうれしかった。小さな膨らみがまだ二つ残っていたが、これなら残しても服の柚で隠せる。 術後も、腕に衝撃があると出血するため、高校の体育の授業は半分近く休んだ。小学校から空手を続けていたが、骨肉腫の疑いを機に禁止されていた。倉持医師にも「出血が危ないから、やめたほうがいい」と言われた。 「ぶつからない空手もあるんです」。そう食い下がり、対戦する「組手」から、演武する「形」に転向することにした。

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出典 朝日新聞

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