2011年8月23日火曜日

食物アレルギーについて 4

血液検査と皮膚検査だけで食事制限を始めてはダメ

血液検査・皮膚検査の方法
 アレルギーの検査には、血液検査や皮膚検査もよく用いられます。
 血液検査は、血液中に、アレルギー反応の引きがねとなる「IgE抗体(免疫グロブリンE)」という物質がどれくらいあるかを調べる検査です。
 IgE抗体は私たちの血液や体液の中にごくわずかに含まれているタンパク質で、ふだんは寄生虫や一部の細菌を退治する役割を担っています。ただし量には個人差があり、アレルギー体質の人は、赤ちゃん時代からIgE抗体を多量につくり出すという特徴があります。ですから、血液中のIgE抗体の量を調べれば、その人がアレルギー体質かどうかの目安がつくわけです。
 皮膚検査には、スクラッチテストとパッチテストがあります。スクラッチテストは、背中や腕などの皮膚にスクラッチ針で出血しない程度に傷や押し跡をつけ(痛みはあまりなく、傷跡も残りません)、アレルゲンと疑われるもののエキス(たとえば卵白やチリダニのエキス)を1滴たらします。エキスを先につけてから、スクラッチ針で押す方法もあります。その後、皮膚に発赤(赤くなること)が出るかどうかを確認。発赤しているようなら、そのアレルゲンに対してアレルギーのある可能性が出てきます。
 パッチテストは、アレルゲンのエキスを小さな紙に染み込ませて腕などにはり、発赤などの反応を見ます。

検査で「陽性」が出てもアレルギーじゃない!?
 しかし、食物アレルギーの診断において、血液検査と皮膚検査は、あくまで補助テストです。陽性反応が出ても、すぐにその食物を「アレルゲン!」と考え、除去してはいけません。
 というのも、この2つの検査は手軽な分、「偽陽性」、つまり誤って陽性反応が出る場合が少なくないからです。特に皮膚検査の場合、皮膚が過敏な子は、どんなアレルゲンエキスにも反応してしまいます。
 また、乳幼児の場合、血液検査や皮膚検査で陽性と出ても、本当に食物制限が必要な子は半分以下にすぎないことが、2001年に厚生労働省より発表されています。事実、検査が陽性でも、その食物が特に問題ない場合が何割かあります。
 また、もう一つ頭に入れておいてほしいのは、アトピー性皮膚炎は食物アレルギーだけで起こるわけではないということです。前にもお話ししたように、食物アレルギーが関与しているケースはせいぜい2~3割程度。原因もはっきりしないのに特定の食物を制限したり、アトピー性皮膚炎があるからなんらかの食物が必ず関与していると断定的に診断するのは、医学的にまったく根拠がないばかりか、その子の成長にとって有害ですらあります。くれぐれも、血液検査や皮膚検査の結果だけで、食事制限をしないようにしていただきたいと思います。
 ただし、特定の食物を食べると15分以内に症状が出る、ショック症状を起こす、というときは、かなり因果関係は明らかですし、親御さんの話を聞けば多くの場合、原因も推定できます。こうした場合は、血液検査で陽性が出ていれば、確認がとれたと考えてその食物の除去を始めてもいいでしょう。

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