2011年9月13日火曜日

食物アレルギーについて 6

原因がわかったら正しい除去食療法を

正しい除去食療法できちんとケアして
 病院できちんと検査を受け、アレルゲンとなる食物が特定されたら、あとは正しい除去食療法を行えば、症状は必ずよくなっていきます。
 除去食とは、その名のとおり、アレルゲンの食物を子どもに食べさせないようにする治療法です。
 この場合も、「アレルゲンとなる食物をやめるだけだから」と軽く考え、自己流で行うのは厳禁です。「卵がダメなら魚からタンパク質を補う」など、栄養や具体的な代替メニューを総合的に指導してくれる医師のもとで行う必要があります。そうでないと、栄養不足のために健康や成長の面で害が出ることさえあります。

「完全除去」と「不完全除去」2種類の方法がある
 また、ひと口に除去食といっても、「完全除去」と「不完全除去」の2種類があります。どちらを行うかは、子どもの状態を見て、医師が判断します。言九全除去」は、アレルギーを引き起こす食物をいっさい与えないという方法で、特定の食物が含まれているお菓子やレトルト食品など、加工品もすべてシャットアウトします(期間の目安はまず半年です)。
 一方、「不完全除去」は、1週間に2回程度、アレルゲンの食物を少量ずつ食べさせてみる方法です。ただし、これは「十分に加熱したもの」に限ります。たとえば卵をアレルゲンとする赤ちゃんには、生卵そのものは少量でも食べさせてはいけませんが、ホットケーキやプリンなど十分に加熱・調理したものなら、少しは食べさせられます。卵は主にタンパク質がアレルゲンで、熱を加えることによってその性質が変化、体がアレルゲンと認識しにくくなるからです(加熱などを「低アレルゲン化」といいます)。
 もちろん、「不完全除去」でも、専門医の指導のもとで行うことが大前提です。「不完全除去」とはいえ、自己判断で行うとお母さん自身が精神的に追い込まれたり、赤ちゃんの栄養バランスを狂わせる可能性が非常に高いのです。実際、自己判断による除去食で、かっけ(ビタミンB1が欠乏して起こる栄養失調の病気の一つ)やくる病を発症した例が、日本国内の学会で報告されているので、気をつけてください。

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2011年9月7日水曜日

食物アレルギーについて 5

正確な診断のためには「除去テスト」「負荷テスト」

除去テスト・負荷テストが重要な判断材料になる
 では、食物アレルギーのある・なしを正しく診断するため、また何がアレルゲンかを特定するためには、どんな検査が必要でしょう。
 それは、「除去テスト」と「負荷テスト」 の2つです。これは、次のような手順で行います。
 最初は、除去テストです。アレルゲンと疑われる食物の (卵なら、卵はもちろん卵の入った料理や食品、菓子類すべて)を1週間~10日間、完全にシャットアウトします。つまり食べさせないわけです。アトピー性皮膚炎の場合は、この間、スキンケア (第4章) はしっかり実行します。
 除去して症状が軽くなったのなら、その食物はかなりアヤシイ、ということです。でも、たまたま体調がよかったり、適切なスキンケアで皮膚がよくなったということも考えられます。そこで、さらに次のテスト。まず初日は、その食品のそれまで食べていた量の3分の1、次の日に3分の2、3日目に除去前の量に戻します。これが「負荷テスト」です。
 これで症状が悪化した場合は、再びその食物を完全にシャットアウトします。それで症状が軽くなれば、その食物がアレルギー症状に関与している可能性はとても高くなり、最終診断の重要な材料になります。
 何度もいいますが、血液検査や皮膚検査だけでは、食物アレルギーの診断はできません。実際に除去テスト・負荷テストを行ったら、何も症状は変わらず、関与はないようだ……というケースも少なくありません。原因でもない食物を除去するのは、子どもの成長に百害あって一利なしです。

テストは必ず専門医の指道寸のもとで行って
 除去テスト・負荷テストは家庭で行うことも可能ですが、負荷テストによって、まれに呼吸困難などのショック症状を起こすこともあります。ですから必ず専門医か、この方法に十分経験のある医師の指導のもとで行うことが必要です。
 なお、すでに何かの食物でショック症状を起こしたことのある場合は、除去テスト・負荷テストなどの手順を踏まないで、診断する場合もあります。

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2011年8月23日火曜日

食物アレルギーについて 4

血液検査と皮膚検査だけで食事制限を始めてはダメ

血液検査・皮膚検査の方法
 アレルギーの検査には、血液検査や皮膚検査もよく用いられます。
 血液検査は、血液中に、アレルギー反応の引きがねとなる「IgE抗体(免疫グロブリンE)」という物質がどれくらいあるかを調べる検査です。
 IgE抗体は私たちの血液や体液の中にごくわずかに含まれているタンパク質で、ふだんは寄生虫や一部の細菌を退治する役割を担っています。ただし量には個人差があり、アレルギー体質の人は、赤ちゃん時代からIgE抗体を多量につくり出すという特徴があります。ですから、血液中のIgE抗体の量を調べれば、その人がアレルギー体質かどうかの目安がつくわけです。
 皮膚検査には、スクラッチテストとパッチテストがあります。スクラッチテストは、背中や腕などの皮膚にスクラッチ針で出血しない程度に傷や押し跡をつけ(痛みはあまりなく、傷跡も残りません)、アレルゲンと疑われるもののエキス(たとえば卵白やチリダニのエキス)を1滴たらします。エキスを先につけてから、スクラッチ針で押す方法もあります。その後、皮膚に発赤(赤くなること)が出るかどうかを確認。発赤しているようなら、そのアレルゲンに対してアレルギーのある可能性が出てきます。
 パッチテストは、アレルゲンのエキスを小さな紙に染み込ませて腕などにはり、発赤などの反応を見ます。

検査で「陽性」が出てもアレルギーじゃない!?
 しかし、食物アレルギーの診断において、血液検査と皮膚検査は、あくまで補助テストです。陽性反応が出ても、すぐにその食物を「アレルゲン!」と考え、除去してはいけません。
 というのも、この2つの検査は手軽な分、「偽陽性」、つまり誤って陽性反応が出る場合が少なくないからです。特に皮膚検査の場合、皮膚が過敏な子は、どんなアレルゲンエキスにも反応してしまいます。
 また、乳幼児の場合、血液検査や皮膚検査で陽性と出ても、本当に食物制限が必要な子は半分以下にすぎないことが、2001年に厚生労働省より発表されています。事実、検査が陽性でも、その食物が特に問題ない場合が何割かあります。
 また、もう一つ頭に入れておいてほしいのは、アトピー性皮膚炎は食物アレルギーだけで起こるわけではないということです。前にもお話ししたように、食物アレルギーが関与しているケースはせいぜい2~3割程度。原因もはっきりしないのに特定の食物を制限したり、アトピー性皮膚炎があるからなんらかの食物が必ず関与していると断定的に診断するのは、医学的にまったく根拠がないばかりか、その子の成長にとって有害ですらあります。くれぐれも、血液検査や皮膚検査の結果だけで、食事制限をしないようにしていただきたいと思います。
 ただし、特定の食物を食べると15分以内に症状が出る、ショック症状を起こす、というときは、かなり因果関係は明らかですし、親御さんの話を聞けば多くの場合、原因も推定できます。こうした場合は、血液検査で陽性が出ていれば、確認がとれたと考えてその食物の除去を始めてもいいでしょう。

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2011年8月16日火曜日

食物アレルギーについて 3

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係

食物アレルギーが関与しているのは3割程度
 さて、問題はこうした食物アレルギーと、アトピー性皮膚炎の関係です。
 結論からいうと、「アトピー性皮膚炎」=「食物アレルギーが原因」ではありません。そのように誤解している方も多いのですが、実際に食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因になっている子は、多くても2~3割程度です。あとはチリダー「ハウスダスト、カビなどで、原因を特定できないことも少なくありません。また、まちがったスキンケアや紫外線、食物に含まれている油脂などが、アトピー性皮膚炎の悪化の誘因になっていることもあります。一般に、乳幼児期の食物アレルギーにおいては、卵、牛乳、大豆、米、小麦が5大アレルゲンといわれます(中でも特に多い卵、牛乳、大豆を3大アレルゲンと表現することもあります)。
 その一方で、これらのタンパク質は、赤ちゃんの血液や体をつくるためには絶対に欠かせない栄養です。
 ですから、赤ちゃんに湿疹ができたからといって、自己判断で食事制限を行ってはいけません。まちがった食事制限は、赤ちゃんの栄養状態を悪くし、発育に悪影響を及ぼし、病気を引き起こす原因となることさえあります。お母さんも、よけいなストレスや緊張を
背負うことになりかねません。
 赤ちゃんに食物アレルギーの疑いがある場合は、まず、病院で一連の検査を受け、アレルゲンとなっている食物は何なのかをきちんと突き止めることが重要です。

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2011年8月9日火曜日

食物アレルギーについて 2

乳幼児に食物アレルギーが多い理由

 食物アレルギーは大人にもある反応ですが、特に0~3才の乳幼児に多いことが知られています。そして、こうした乳幼児期の食物アレルギーは、成長するにしたがって自然に軽くなったり、治ったりします。「アレルギーは体質のはずなのに、どうして?」と思われる方も多いでしょう。
 これは、人の消化機能の発達に関係があります。

不思議な不思議な消化の仕組み
 基本的に、すべての食物は人の体にとって「異物」であり、アレルゲンとしてアレルギーを起こしうるものです。しかし、実際にはほとんどの人がアレルギーを起こすことなく、食物を摂取できています。 実は、人の消化管には、食物でアレルギーを起こさないための仕組みがあるのです。
 食物は口から入って、胃、十二指腸などを通過するうち、胃酸や、すい臓などから分泌される消化酵素の助けを借り、小さく分解されていきます。小さくなって初めて、小腸で栄養として吸収されるのです。このプロセスが「消化(分解)」です。
 たとえば、お米やいも類などの炭水化物はブドウ糖などに、肉や豆腐などのタンパク質はアミノ酸などに分解されます。食物の脂も、脂肪酸などに分解されて初めて小腸で吸収されます。人が食物をアレルゲンと感じないのも、この分解というプロセスのおかげ。食物を、人が栄養やエネルギー源として活用できるかたちに変化させているのです。
 また、栄養を吸収する小腸の粘膜は、こまかい網目状と考えられています。食物を十分分解できなかったとき、つまり大きな分子として残ってしまったものは、ここを通って体内に入ることができません。「消化が悪くて下痢をする」のは、分解が不十分だったため。また繊維質の含まれた食物が便秘にいいのは、人は牛や馬などと異なり、繊維質を消化する酵素がなく、ほとんどが便として出てくるからです。

成長とともに機能が発達、アレルギー反応も解消
 しかし、赤ちゃんはこうした消化の能力が未熟です。消化酵素も十分ではありませんし、腸の粘膜の網目も、大人にくらべて大きいといわれます。つまり食物が十分に分解されず、大きな分子のままで休の中に取り込まれてしまいやすいのです。そして、体の免疫組織がこれを異物としてとらえ、アレルギー反応が起こるわけです。
 またもう一つ重要な点に、人にはこうして消化管から入ってきたものに対し、「体にいいもの」「悪いもの」を見分ける免疫的な能力が備わっていることもあります。これを「免疫学的寛容」 (よいものを受け入れる、といった感じです)といいます。けれど、赤ちゃんはこうした免疫的な判別能力も未熟。やみくもに食物成分を拒否してしまうともいえます。
 ここまでお話しすれば、もうおわかりでしょう。そぅ、赤ちゃんは、こうした消化管の機能すべてが未熟ということなのです。しかし成長するにつれ、こうしたさまざまな機能も成熟し、多少の個人差はありますが、3才にもなれば、それまでアレルゲンとされていた食物を食べても、アレルギー症状が出ないようになる可能性が高いというわけです。

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2011年8月2日火曜日

食物アレルギーについて 1

食物アレルギーって何?どんな症状?

じんましんが代表的ですが症状は実にさまざま
 食物アレルギーとは、ある特定の食物を飲んだり食べたりすることによって引き起こされる、アレルギー反応です。
 代表的なのはじんましんです。皮膚にかゆみのある赤い発疹が広がります。このほかにも呼吸が苦しくなる、心臓がドキドキする、鼻水やくしゃみが出る、腹痛や下痢を起こす、吐く、関節が痛くなるなど、症状は実にさまざまです。まれなケースとして片頭痛もありますし、食べた直後に異常に興奮(ハイになる)し、そのあとで全身に脱力感をきたす場合も見られます。
 中でも激烈なのは「ショック型反応(アナフィラキシー)」と呼ばれるもので、血圧低下や呼吸困難、意識障害などを起こします。代表はそばアレルギーで、ショック症状の場合は迅速な治療が必要になります。
 ふだんは特に問題のない食物でも、体調が悪いときなどに、じんましんなどが出ることもあります。

反応が出るまでの時間もさまざまです
 アレルゲンとなる食物を摂取してからこうした症状が出るまでには、主に3つのパターンがあります①10~15分以内に症状が出る②6~8時間後(半日後) に出る③1~2日後に出る
 ①は最も多いタイプの反応です。食べた直後に症状が出るので、食物と症状との因果関係もわかりやすく、原因の特定&診断も容易といえます。
 ②は特定の食物を食べてから症状が出るまでに次の食事や間食もあるため、原因を見つけるのがむずかしくなります。また③も、食べてからかなり時間がたつので、よほど注意していないと原因を見つけることばむずかしくなります。
 食べてすぐ症状が出る反応の場合は血山聯甲の抗体を調べる検査もかなり有効ですが、症状が出るまでの時間が経過するにつれ、抗体検査の診断的価値は低下します。時間がたってから起こる反応には、抗体だけではなく、細胞などその人の持つ免疫システム全体が関係していると考えられるからです。

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2011年7月26日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 8

アトピー性皮膚炎と赤外線

昔は夏、子どもは真っ黒に日焼けしたものですが、こうした幼児期の多量の赤外線が皮膚ガンなどのリスクを高めることが、知られるようになってきました。
アトピー性皮膚炎については、赤外線が悪化要因になることもあります。実際、「日焼けしたら炎症が悪化した」という子も確かにいます。
しかし、むやみに赤外線をこわがるのもどんなものでしょう。
たとえば、赤外線を浴びることで、肌はダメージを避けようとして角層を厚くします。しまり肌が丈夫になって、外からの刺激に強くなります。また、赤外線は体内でのビタミンDの生合成の手助けとなります。過度の赤外線対策のせいでビタミンDが欠乏し、日本では見られなくなった「くる病」にかかる子がときに見られるという報告もあります。
確かに、強い日焼けは肌にダメージを与えますが、太陽の下で適度に遊ぶことは、子どもの体や心の成長のためにも大切なのです。
最近は子ども用の日焼け止めクリームなども市販されていますが、アトピー性皮膚炎の症状がたある時期は、使用を避けます。症状が安定しているときは使用しても構いませんが、かぶれることもあるので、必ず腕など小さな部分で試してからにします。心配なときは帽子などで日焼け対策をしてください。
また、子どものアレルギーは「体力がつくにつれて改善する」というすばらしい面があります。そのためにも、運動は欠かせません。
皮膚症状があっても、あまり神経質にならず、外遊びは積極的にしましょう。また、皮膚症状が安定したら、今度は肌を丈夫にするため、いろいろなことに積極的にチャレンジしたいものです。
たとえばスイミングなども、1年がんばれば、体はメキメキ強くなりますよ。

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