2011年8月16日火曜日

食物アレルギーについて 3

食物アレルギーとアトピー性皮膚炎の関係

食物アレルギーが関与しているのは3割程度
 さて、問題はこうした食物アレルギーと、アトピー性皮膚炎の関係です。
 結論からいうと、「アトピー性皮膚炎」=「食物アレルギーが原因」ではありません。そのように誤解している方も多いのですが、実際に食物アレルギーがアトピー性皮膚炎の原因になっている子は、多くても2~3割程度です。あとはチリダー「ハウスダスト、カビなどで、原因を特定できないことも少なくありません。また、まちがったスキンケアや紫外線、食物に含まれている油脂などが、アトピー性皮膚炎の悪化の誘因になっていることもあります。一般に、乳幼児期の食物アレルギーにおいては、卵、牛乳、大豆、米、小麦が5大アレルゲンといわれます(中でも特に多い卵、牛乳、大豆を3大アレルゲンと表現することもあります)。
 その一方で、これらのタンパク質は、赤ちゃんの血液や体をつくるためには絶対に欠かせない栄養です。
 ですから、赤ちゃんに湿疹ができたからといって、自己判断で食事制限を行ってはいけません。まちがった食事制限は、赤ちゃんの栄養状態を悪くし、発育に悪影響を及ぼし、病気を引き起こす原因となることさえあります。お母さんも、よけいなストレスや緊張を
背負うことになりかねません。
 赤ちゃんに食物アレルギーの疑いがある場合は、まず、病院で一連の検査を受け、アレルゲンとなっている食物は何なのかをきちんと突き止めることが重要です。

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2011年8月9日火曜日

食物アレルギーについて 2

乳幼児に食物アレルギーが多い理由

 食物アレルギーは大人にもある反応ですが、特に0~3才の乳幼児に多いことが知られています。そして、こうした乳幼児期の食物アレルギーは、成長するにしたがって自然に軽くなったり、治ったりします。「アレルギーは体質のはずなのに、どうして?」と思われる方も多いでしょう。
 これは、人の消化機能の発達に関係があります。

不思議な不思議な消化の仕組み
 基本的に、すべての食物は人の体にとって「異物」であり、アレルゲンとしてアレルギーを起こしうるものです。しかし、実際にはほとんどの人がアレルギーを起こすことなく、食物を摂取できています。 実は、人の消化管には、食物でアレルギーを起こさないための仕組みがあるのです。
 食物は口から入って、胃、十二指腸などを通過するうち、胃酸や、すい臓などから分泌される消化酵素の助けを借り、小さく分解されていきます。小さくなって初めて、小腸で栄養として吸収されるのです。このプロセスが「消化(分解)」です。
 たとえば、お米やいも類などの炭水化物はブドウ糖などに、肉や豆腐などのタンパク質はアミノ酸などに分解されます。食物の脂も、脂肪酸などに分解されて初めて小腸で吸収されます。人が食物をアレルゲンと感じないのも、この分解というプロセスのおかげ。食物を、人が栄養やエネルギー源として活用できるかたちに変化させているのです。
 また、栄養を吸収する小腸の粘膜は、こまかい網目状と考えられています。食物を十分分解できなかったとき、つまり大きな分子として残ってしまったものは、ここを通って体内に入ることができません。「消化が悪くて下痢をする」のは、分解が不十分だったため。また繊維質の含まれた食物が便秘にいいのは、人は牛や馬などと異なり、繊維質を消化する酵素がなく、ほとんどが便として出てくるからです。

成長とともに機能が発達、アレルギー反応も解消
 しかし、赤ちゃんはこうした消化の能力が未熟です。消化酵素も十分ではありませんし、腸の粘膜の網目も、大人にくらべて大きいといわれます。つまり食物が十分に分解されず、大きな分子のままで休の中に取り込まれてしまいやすいのです。そして、体の免疫組織がこれを異物としてとらえ、アレルギー反応が起こるわけです。
 またもう一つ重要な点に、人にはこうして消化管から入ってきたものに対し、「体にいいもの」「悪いもの」を見分ける免疫的な能力が備わっていることもあります。これを「免疫学的寛容」 (よいものを受け入れる、といった感じです)といいます。けれど、赤ちゃんはこうした免疫的な判別能力も未熟。やみくもに食物成分を拒否してしまうともいえます。
 ここまでお話しすれば、もうおわかりでしょう。そぅ、赤ちゃんは、こうした消化管の機能すべてが未熟ということなのです。しかし成長するにつれ、こうしたさまざまな機能も成熟し、多少の個人差はありますが、3才にもなれば、それまでアレルゲンとされていた食物を食べても、アレルギー症状が出ないようになる可能性が高いというわけです。

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2011年8月2日火曜日

食物アレルギーについて 1

食物アレルギーって何?どんな症状?

じんましんが代表的ですが症状は実にさまざま
 食物アレルギーとは、ある特定の食物を飲んだり食べたりすることによって引き起こされる、アレルギー反応です。
 代表的なのはじんましんです。皮膚にかゆみのある赤い発疹が広がります。このほかにも呼吸が苦しくなる、心臓がドキドキする、鼻水やくしゃみが出る、腹痛や下痢を起こす、吐く、関節が痛くなるなど、症状は実にさまざまです。まれなケースとして片頭痛もありますし、食べた直後に異常に興奮(ハイになる)し、そのあとで全身に脱力感をきたす場合も見られます。
 中でも激烈なのは「ショック型反応(アナフィラキシー)」と呼ばれるもので、血圧低下や呼吸困難、意識障害などを起こします。代表はそばアレルギーで、ショック症状の場合は迅速な治療が必要になります。
 ふだんは特に問題のない食物でも、体調が悪いときなどに、じんましんなどが出ることもあります。

反応が出るまでの時間もさまざまです
 アレルゲンとなる食物を摂取してからこうした症状が出るまでには、主に3つのパターンがあります①10~15分以内に症状が出る②6~8時間後(半日後) に出る③1~2日後に出る
 ①は最も多いタイプの反応です。食べた直後に症状が出るので、食物と症状との因果関係もわかりやすく、原因の特定&診断も容易といえます。
 ②は特定の食物を食べてから症状が出るまでに次の食事や間食もあるため、原因を見つけるのがむずかしくなります。また③も、食べてからかなり時間がたつので、よほど注意していないと原因を見つけることばむずかしくなります。
 食べてすぐ症状が出る反応の場合は血山聯甲の抗体を調べる検査もかなり有効ですが、症状が出るまでの時間が経過するにつれ、抗体検査の診断的価値は低下します。時間がたってから起こる反応には、抗体だけではなく、細胞などその人の持つ免疫システム全体が関係していると考えられるからです。

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2011年7月26日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 8

アトピー性皮膚炎と赤外線

昔は夏、子どもは真っ黒に日焼けしたものですが、こうした幼児期の多量の赤外線が皮膚ガンなどのリスクを高めることが、知られるようになってきました。
アトピー性皮膚炎については、赤外線が悪化要因になることもあります。実際、「日焼けしたら炎症が悪化した」という子も確かにいます。
しかし、むやみに赤外線をこわがるのもどんなものでしょう。
たとえば、赤外線を浴びることで、肌はダメージを避けようとして角層を厚くします。しまり肌が丈夫になって、外からの刺激に強くなります。また、赤外線は体内でのビタミンDの生合成の手助けとなります。過度の赤外線対策のせいでビタミンDが欠乏し、日本では見られなくなった「くる病」にかかる子がときに見られるという報告もあります。
確かに、強い日焼けは肌にダメージを与えますが、太陽の下で適度に遊ぶことは、子どもの体や心の成長のためにも大切なのです。
最近は子ども用の日焼け止めクリームなども市販されていますが、アトピー性皮膚炎の症状がたある時期は、使用を避けます。症状が安定しているときは使用しても構いませんが、かぶれることもあるので、必ず腕など小さな部分で試してからにします。心配なときは帽子などで日焼け対策をしてください。
また、子どものアレルギーは「体力がつくにつれて改善する」というすばらしい面があります。そのためにも、運動は欠かせません。
皮膚症状があっても、あまり神経質にならず、外遊びは積極的にしましょう。また、皮膚症状が安定したら、今度は肌を丈夫にするため、いろいろなことに積極的にチャレンジしたいものです。
たとえばスイミングなども、1年がんばれば、体はメキメキ強くなりますよ。

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2011年7月20日水曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 7

アトピー性皮膚炎の経過

アトピー性皮膚炎の治療は一人一人、オーダーメイド
 アトピー性皮膚炎は、バリア機能の低下やそれによるドライスキンなど「アレルギーと関係のない要因」と「アレルギーによる要因」、この2つが合わさった皮膚炎。治療も、この両面から取り組むことになります。
 具体的な対策については別の章でお話ししますが、大切なのは「一人一人に応じた原因を追究すること」といえるでしょう。もしスキンケア法がまちがっているなら、それを直す。アレルゲンも一人一人違うので、それぞれに応じた対策を考える……。
 動物性脂肪やリノール酸のとりすぎ、添加物、紫外線などが皮膚炎を悪化させる誘因になっていることもあります。気づいたものから一つずつていねいに改善していく地道な積み重ねがいちばん大切。アトピー性皮膚炎の治療は「一人一人オーダーメイド」です。
 アレルギーは体質なので一生のおつきあいですが、アトピー性皮膚炎は適切なスキンケアと環境整備で十分、改善が期待できる皮膚炎です。専門医とていねいに相談しながら、ゆっくり取り組んでいきましょう。ここでは2つのケースを写真で紹介しましたが、そのほかさまざまな体験が第8章にありますので、そちらも読んでみてください。

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2011年7月13日水曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 6

アトピー性皮膚炎の特徴と診断

疑われるときは専門医を受診して
 これまでにお話ししたように、治りにくい湿疹=アトピー性皮膚炎と即断するのは禁物です。けれど①親にアレルギー病がある、②かゆみの強い湿疹がなかなか治らない、③再発を繰り返す、④湿疹のできる部位に特徴がある……ようなときは、アトピー性皮膚炎の疑いも強いといえるでしょう。一般に、0才期のアトピー性皮膚炎は全体にジクジクした感じです。顔がただれたように赤くなり、分泌物が出ることもあります。かゆみが強いのも特徴で、ひどいときは体全体に広がります。
 1才ころになると湿疹はしだいにカサカサしてきます。アトピー性皮膚炎の特徴「ドライスキン」です。肌は乾燥して粉をふいたような、アトピー性皮膚炎特有のザラザラした感じになってきます。
 かゆみが強いので、かいているうち、幼児期になる
と皮膚がゴワゴワ、厚くなってきます。
 症状は悪くなったりよくなったりを繰り返し、思春期になるころには軽くなりますが、大人になるまで持ち越したり、大人になって再発することも、最近はふえてきました。それどころか、ストレスが原因の成人発症型のアトピー性皮膚炎も増加しています。

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2011年7月5日火曜日

アトピー性皮膚炎を理解する 5

アトピー性皮膚炎とほかの湿疹の判別

湿疹=アトピー性皮膚炎と思い込まないこと
 アトピー性皮膚炎の治療方針や今後のケアを考えるためには、これまでお話ししたようなアトピー性皮膚炎の特徴を理解しておくことが大切です。また、何より重要なのは、正しい診断でしょう。ほかの湿疹や皮膚炎との「判別」をしていくことが必要です。
 実際、「これはアトピー性皮膚炎でしょうか?」と心配して受診するお子さんの何割かは、単純なドライスキンによる湿疹です。また、赤ちゃんによくある湿疹ですが、スキンケアが誤っていたためになかなか治りにくくなっているケースもあります。
 軽い湿疹や単純なドライスキンであれば、保湿ケアだけで治ることもあります。不必要な薬や根拠のない食事制限をしないためにも、正しい診断は大切です。

新陳代謝が盛んな赤ちゃんは湿疹もできやすい
 それでは、いくつかアトピー性皮膚炎とまぎらわしい湿疹をご紹介しておきましょう。
 赤ちゃんは「滲出性体質」といわれます。新陳代謝が盛んですし、特に生後すぐから2~3カ月くらいまでの赤ちゃんは、体内でお母さんからもらったホルモンの影響で皮脂の分泌が盛ん。肌がベタベタ、ジクジクした湿疹もできやすいものです。 たとえば「新生児ニキビ」。ほおやおでこにできるプツプツした湿疹で、大人のニキビのようにまん中に白いしんがあります。生後間もなくから3カ月ころまでの赤ちゃんによく見られるもので、やはり皮脂分泌が多いせいです。
 「脂漏性湿疹」も、生後2~5カ月ころまではよく見られる湿疹です。頭皮や髪の毛の生えぎわ、ひたいなどにできるクリーム色のフケのような湿疹で、ひどくなるとかさぶたのようにべったりつきます。
 こうした湿疹は乳児にできやすいということで、一般に「乳児湿疹」と呼ばれます。
 もっとも、赤ちゃんの月齢が低いうちは、乳児湿疹なのか、アレルギーが関係するアトピー性皮膚炎なのか、判断もむずかしいものです。ある程度経過を見ながら、慎重に判断していく必要があるといえます。

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